4年ほど前のこと。

 

 

私の知人の知人で90歳になられるおばあ様の、

ご自宅のお片付けを手伝わせていただいた

ことがありました。

 

 

ご主人は十数年前にお亡くなりになられ、

1人娘はアメリカ人と結婚され、

もう何十年もアメリカで暮らされているとのこと。

 

 

とてもお元気で、90歳とは思えないほどしっかりされた方でしたが、

お一人では何かと大変ということで、

老人ホームに入居されていました。

 

 

 

ある日お目にかかる機会があり、お話を伺うと

 

「もう娘が日本に帰ってくることはないから…」と、

娘さんに迷惑をかけないように、

何としてでもご自宅の整理整頓をしたい

とのことでした。

 

 

 

ご自宅は老人ホームから近く、

タクシーで通える距離。

 

 

週一回程度、タクシーで通って片付けようと

思っているから

 

「手伝っていただけると助かるのだけれど…」

 

と言われました。

 

 

私は、

 

「ご無理をなさらないでくださいね。

 

当日でも体調が優れなかったらお電話ください。」

 

とお約束して、鍵をお預かりし、

ご自宅のマンションで待ち合わせて

お手伝いさせていただくことになりました。

 

 

 

ご自宅は都内でも人気のある街、

駅から徒歩3分のマンション最上階。

 

 

とても古いマンションでしたが、

かつてはオシャレで素敵だった様子が伺えます。

 

 

そして部屋数もたくさんあるそのお宅は、

物もたくさん詰め込まれたままとなっていました。

 

 

ご結婚されて六十数年の思い出と物の量は

果てしなく・・・

 

 

簡単に終わらないことは、

一目でわかりました。

 

 

そのような状態を90歳を迎えられるまで、

ずっと気にかけながら過ごしてこられた訳です。

 

 

 

そこで感じたことは、

病気もなく身体がお元気でも、

肉体労働を伴うお片付けは歳と共に

年々困難になっていくということです。

 

 

そして気持ちがしっかりしていればいるほど、

身体が動かない分、

気がかりはどんどん大くなっていくということです。

 

 

 

お片付けを始めて2〜3ヶ月経過したころ、

話は急展開。

 

 

娘さんが離婚されて日本に帰ってこられることとなり、

その後のお片付けは娘さんにバトンタッチとなりました。

 

 

「一緒にお片付けができて楽しかったわ、ありがとう。」

 

とおっしゃっていただけましたが、

 

「良かったですね。」

 

とも言い難いお別れに、言葉選びが難しかったことを覚えていますタラー

 

 

でも、娘さんとお片付けできることになって、本当に良かったと思います。

 

 

 
お手伝いさせていただきながら、
 
子育ての話、
 
ご主人との思い出、
 
ご主人と二人三脚で会社を経営してこられた話、
 
老人ホームでの人間模様、
 
・・・
 
過去を全く知らない私でも、興味深く聞くことができました。
 
 
このまま私が一緒に片付けていたら、娘さんは多くの話を聞きそびれてしまったわけですから…。
 
 
 
実家のお片付けは、自分の生活もありながらすることなので重労働です。
 
 
その上、親子だと揉めることもあるかもしれません。
 
 
しかし、「知らなかった!?」というエピソードを聞くことのできる最高の機会でもあります。
 
 
大人になった自分の視点で親と関わると新たな発見があり、「やって良かった」と思うはずです^^