ITALIA /サルディーニャ島食べ歩き・ヨットの旅 64
サルディーニャの山奥のアグリツーリズモは本当にワイルドだった。
山羊や羊やロバは放し飼いになっていてそこら辺をウロウロしていた。
白い大きな犬が一匹だけロープに繋がれていた。
聞くと以前飼ってる羊を食べてしまったらしい…
野性的だ…知らんかったから手だしてしもたやん…。
大きな木の下にこのアグリツーリズモのマダムが大きなお鍋を抱えて座っていて私たちを呼んだ。
行ってみるとお鍋の中には出来立てのフルフルのお豆腐の様な物が入っていて、
それをすくってペラペラのパンのうえに乗せてくれた。
そのフルフルお豆腐の正体はペコリーノという羊乳から作ったチーズで
本来ペコリーノチーズってハードタイプやねんけど
これは出来立ての…
いわゆるおぼろ豆腐みたいな物なんです。
温かいペコリーノチーズはコクがあってフレッシュでむちゃくちゃ美味しい
「buono」を連発する私たちを今度は少し離れた厨房に連れて行ってくれた。
厨房っていうてももちろんお外よ。
むっちゃ外。
そこでサルディーニャの伝統料理の「ポルケッタ」を作っていたわけよ。
「ポルケッタ」というのは生後6ヶ月までの乳豚の丸焼きで
サルディーニャの昔からの伝統料理なのだ。
野外の厨房で子豚さん達はこんがり焼かれていたよ。
6時間位焼くねんて。
他には大きなお鍋に羊肉とたっぷりの野菜がボイルされていたりした。
実は私達がサルディーニャに着いた日。
食いしん坊の私達は「まずは名物料理のポルケッタを食べよう!」と
カリアリの町でポルケッタで有名なレストラン に行っていたのだ。
しかし…その臭さに撃沈した私たち。
かなりの動物臭にも平気な私たちでさえ辟易するほどだったので
正直「ポルケッタ」の印象は良くなかったのだ。
けれど…
そこは人の良い日本人の私たち
「サルド(サルディーニャのこと)の伝統料理ポルケッタを食べに行こう」と
意気揚々と話すブルーノ達にそんな事は言えなかった。
だけどこのアグリツーリズモの森な雰囲気にすっかり気持ち良くなっちゃって
あの臭かったポルケッタの記憶はあっという間に消え去ってしまったよ。
席に付くとお皿の代わりのペラペラのパンとプラスチックのコップが置いてあるだけ。
前菜はペコリーのチーズとリコッタチーズと生ハム。
続いてボイルした野菜と羊肉。
ほとんど素材の味のみ。
テーブルにsalt&pepperだけ置いてあって好みでかけて食べるわけよ。
そしてメインのぶつ切りにされたポルケッタがサーブされる。
足とか頭とかもはっきり分かるので最初はビビるよ。
もちろんナイフ・フォークはないから手で食べるわけよ。
薪で6時間じっくり焼かれた「ポルケッタ」はほとんど臭みはなく
パリパリの皮と柔らかいお肉が口の中で混ぜ合わさって完成品となった。
むちゃくちゃ野性的なお料理な割には乳飲み豚の繊細な味が素晴らしく本当に美味しかった。
ここに来て本当に良かった「ポルケッタ」を誤解したまま日本に帰る所やったわ。
ワインももちろん自家製。
確かに「むっちゃ美味しいワイン」とはいえないけど
手づかみで肉をワシャワシャ食べながら飲むには素朴な味わいがマッチしている。
何よりもこの開放的な雰囲気の中木漏れ日を浴びながら頂くランチは得難い幸福感があったよ。
そしてお食事の後は…
Bis per favore…