先週末、2年ぶりに日本スポーツ心理学会に行くことができ。(毎年行きたいのに、仕事が重なっていて昨年はいけませんでした)
いろいろ、思うところを、すでにちょびちょび、ツイッターでつぶやいてはおりましたが。
ここで改めて。
よく質問されることを、書いておきます。
よくオリンピック選手やプロ選手に質問されることです。
いわゆるトップアスリートに聞かれる質問。
「京さん、メンタルトレーナーって、どうやって選べばいいんですか?」
ま、そもそも、その前に、必ず、「メンタルトレーニングってなんですか?」って質問もされるんだけど、その答えはまた今度ということに。
で。
メンタルトレーナーの選び方。
とくに今日は、あなたがトップアスリートだったら、ということで、限定して、書きます。
あなたが、トップアスリートなのであれば。
とても基本的なところで、重要なのは、「トップアスリートに必要なメンタル」について、学術的に知識があって、同時に、実践の現場の経験がある人がよいということ。
当たり前のことだけど、学術的な知識があるだけでもダメだし、現場の経験があるだけでもダメです。
この学術的な知識というのは、たとえば、「スポーツ選手にメンタルトレーニングをおこなってよい」というメンタルトレーナーとしての資格を保持しているかどうかで、まず最低限度としては、判断できます。
なぜ資格を持っているメンタルトレーニング指導者でなければ、よくないか。
私が思っている理由は様々ですが、そのうち、大切なことを一つ。
資格を持っているトレーナーは、守秘義務の重要性をわかっているということ。
逆にいえば、
資格を持っていなければ、「倫理的な部分に責任を持たないでも、許される」わけで、そういった指導をしていても、だれも咎めないことです。
日本スポーツ心理学会の認定スポーツメンタルトレーニング指導士であれば、当たり前のことではありますが、守秘義務というものを学びます。
どんなトップアスリートを指導していようと、それを、他者に言うことはしない、ということです。
もちろん、アスリート本人が記者会見などで、「〇〇さんにメンタルを指導してもらいました」と言うことで、わかることはあります。また、アスリート本人が、「出してくれていいですよ」って許可しているってことだってあります。そんな場合は、当然、よいでしょう。
しかし、アスリートからの特別な許可なしで、指導者側から、「オレさあ、〇〇選手を今みてるんだよねー」ということはやってはいけません。
しかし。
残念なことに、その被害にあって、困っているという選手が、自分のところで、「メンタルトレーナーって、信用できないのは、すぐに名前を使われちゃうことです」って訴えていたことがあります。
いやいや、メンタルトレーナー「が」、名前を使うのではありません。
その「特定の」メンタルトレーナーの人が、アスリートの名前を利用してしまうような、倫理的部分が欠如している人だというだけで、メンタルトレーナー全員が、そうなのではありません・・・。涙
実際、あるメンタルトレーナーは、あるトップアスリートが初めて、そのトレーナーのお部屋に来訪した時に、某局のテレビカメラが構えられていて、「今、自分のことを撮影中なんだ。あなたのメンタル指導をしていることを撮影してもいいよね?」と言われたとのこと。
それ以来、メンタルトレーナーに対する不信感があったとのこと。(そりゃそうだ)
・・・。
情けないっす。
話戻します。
次に大事なことは、これはもう、、、好みです。印象です。直感です。
トップアスリートであれば、お持ちでしょう。なんともいえない、「直感」が。笑。
「なんとなく良い感じ」
「なんとなく、この人となら、メンタルトレーニングを一緒にしていってもいいかも」
という、「雰囲気」。
そもそも。
メンタルトレーナーは、人によって、能力が違うだけでなく、方略の得意分野が違うだけでなく、そりゃ、人間が違うわけです。
人間としての違いはいろいろありますが、超基本的なことでも、たとえば、男性がいいな、とか。女性がいいな、とか。
若い人がいいな、とか、おじーさんっぽい人、おばさんがいいな、とか。
色々あるわけです。
さらに、柔らかい人がいいのか、はっきりしているのがいいのか。
とにかく、あなたの直感とともに、「いろんなトレーナー」に会うことをおススメします。
あるトップアスリートは、日本人ではなくて、外国で探し回り、ヨーロッパで見つけたという方もいます。
しかし、日本でも、
資格を持ったメンタルトレーナーはたくさんいます。
日本スポーツ心理学会のスポーツメンタルトレーニング指導士の一覧をどうぞご覧いただければとも思います。
http://www.jssp.jp/itiran.html
最後に。
メンタルトレーニングに、特にトップアスリートのためのメンタルトレーニングには、マニュアルはありません。だって、そもそも、その人によって、必要なことが違うわけですから。
そして、メンタルトレーニングは、指導者が「教える」ものでもありません。
トップアスリートである、あなた自身が、トレーナーとともに、メンタルを作っていくのです。
メンタルトレーニングの使い方は、人によって全く違います。
特にトップアスリートへのメンタルトレーニングでは、完全に、オーダーメイドです。
自分自身、トップアスリートに関わる時には、それこそ、かなり「直感的」な方向性に走らざるを得ないことだってあります。
それこそ、無我の境地なんて域に行くためには、あるいは、すでにメダルを取った後に、もっかいメダルを取るために、、、なんつって、異常な感覚に引き上げるためには、そりゃー教科書には載ってないことを考えていかなければならないもんです。
ま。その点では、競技コーチのときの感覚と一緒である必要があります。
世界の誰もやっていないメンタルトレーニングにしようぜってことで、選手と二人だけで知恵絞って共同作業をすることになったりします。
話飛びましたが。
とにかく。
まとめます。
メンタルトレーナーを選ぶ時には以下の点を参考にしてみてください。
1)スポーツ選手にメンタルトレーニングをするための資格を保持しているかどうか。
2)トップアスリートのメンタルについての学術的知識だけでなく、現場での実践経験があるかどうか。
3)人として、なんとなく直感的に、あうかどうか。
以上をもとに、いろんな人と会って試してみることをおススメします。
一度あって、「なんかおかしいかな」と思った時に、やっぱりやーめたってのは、全然あっていいことです。
資格を持っているメンタルトレーナーであれば、そんなことは当たり前であることを知っています。
最後に、自分の勝手な私見でのおススメのメンタルトレーナーをご紹介します。
特にトップアスリートへのメンタルトレーニングで、自分が大好きな方々です。
自分の視点としては、自分が選手だったとき、あるいは、自分が代表コーチだったとき、この人にだったら、話を聞いてもらいたいな、教えを受けたいな、と思ったであろう人です。(まったくの独断と偏見です)
筑波大学の中込四郎先生
奈良教育大学の岡澤祥訓先生
大阪体育大学の菅生貴之先生
びわこ成蹊スポーツ大学の豊田則成先生
この4人の先生は、自分のいたって独断と偏見ですが、いろーーーーーんな場面で、「ああ、トップアスリートのメンタルをご存じでいらっしゃるなあ」とつくづく思う方々であり。
そして。
私。
たまに、トップアスリートの「妙な感覚」をわかっていらっしゃる方であれば、こう答えるだろう、、、と想定しながら、わざと突飛な質問を投げたりするのですが。
そんな私のアホな質問に対しても、絶妙なそれぞれの先生方の個性とともに、最高の答えをおっしゃってくださる方々です。
ま。
そもそも、人間的にステキじゃないとですね。
メンタルトレーナーなんて。
やってはいけないっちゅーことで、なので、あー、日々、精進精進なのです。
とにかく。
上記の4人の先生方は、すでにご著名な方々でいらっしゃるので、こんなところで紹介しては、逆にいかんじゃろ、ってことかもしれまへんが。(すみません・・・)
でも。
ホント、これは書きたかったのだ。
だって、あまりに、レベルが違いすぎるんだもん。
日本には素晴らしいメンタルトレーナーが沢山いらっしゃいます。
でも、同時に、情けない話もいっぱい聞くし、同業者として、「おいおい、それはありえんじゃろ」って思うこともあったので、書きました。
自分もこれから、もっと勉強し、経験を積み、選手やコーチのお役に立つメンタルトレーナーになれるように精進します。
おー。長いブログだー。