オペレーション力、すなわち現場力が卓越し、競争上の優位性にまで高められていることを「オペレーショナル・エクセレンス」と呼びます。
オペレーショナル・エクセレンスを確立した企業では、常により良いオペレーションを追求しようという考え方が現場の末端まで浸透し、継続的なオペレーションの進化を可能にする仕組みが出来ているとされています。トヨタや花王、ヤマト運輸、セブン-イレブンといった企業、海外ではGEやフェデラル・エクスプレスなどの企業が、その好例として挙げられています。
オペレーショナルエクセレンスは、「現場の力」を指す言葉であり、企業の競争力の源泉の重要な要素といえます。トレーシーとウィアセーマは、オペレーショナルエクセレンスを、プロダクトイノベーション、カスタマーインティマシーと並ぶ競争力の源泉の一つと位置づけています。
オペレーショナル・エクセレンスでは「持続力の高い優位性」を確立されています。競争戦略による差別化では、戦略自体が保証する優位性の期間は思っているよりはるかに短く、競合他社から追随される可能性が高ものです。総合力である“現場力”は企業の組織能力であり、他社が簡単に真似できるものではありません。時間をかけて磨き上げてきた業務連鎖の品質、コスト競争力、スピードを短期間で模倣するのは容易ではありませんので、長期間高い優位性を企業にもたらすのです。
優位性としては、第一に「圧倒的な業務効率性の実現によるコスト優位性」で、業務連鎖におけるムダ・ムラ・ムリを取り払い、スムーズな仕事の流れを実現する業務効率性の追求されます。
第二に「新たな顧客価値の創出」が上げられます。強い現場は、業務遂行の過程においてお客様のニーズやウォンツを肌で感じて新たな商品・サービスを生み出す起点にもなることができます。業務連鎖とは、お客様への価値を生み出し、お届けするプロセスであり、新しい商品やサービスの芽が溢れています。強い現場はそうした新たな顧客価値の芽に敏感なアンテナの役割を果たしています。
「すべてはお客様のために」「すべての業務はお客様につながる」という意識を業務連鎖に関与するすべての人間が共有することがオペレーショナル・エクセレンスに共通していえます。