先日、ちょっと音資料を探しに山野楽器に行ったのです。音資料って、ようするにCDですね~。そうならそうと言えよ。

 さて、お目当ての曲はすぐに見つかり、そのあとに棚を見たら、ぼくの先生のCDを発見しました。

 というと、「シュタルケルのは、どこでもあるでしょ?」とか言われそうですが、このときに見つけたのは、彼のものではありません。

 「あぁ、木越さんのも出ていますよね」

 確かにそうだが、これもまたハズレ。

 「え?ミヤケさんの先生って他に誰??」

 
 実はぼくが在籍していたころの桐朋学園は同時にふたりの先生に習えたのです。
 ぼくのメインの教師はたしかに木越先生だったのですが、彼もオーケストラが忙しかったりで、入学時にもうひとり先生につけよって話しになったのです。

 そして同門同級生のげんちゃん(読響チェロ奏者)は堤剛先生、そしてぼくは安田謙一郎先生の門下生になったのです。

 
 そして週に2回違う先生のレッスンという過酷な期間が2年続き、チェリストミヤケがあまりにアップアップになったので、木越先生のレッスンだけになり、この二重生活は終わりを告げました。


 前フリが長かったですね。そのわりにはこのあとがあっさり終わりそうで不安になってきました。






 今回見つけたのは彼がヨーロッパから帰国して日が浅い頃に録音されたバッハ無伴奏の全曲です。
LPは持っているのですが、聴かなくなって20年は経ちますね。CDになって嬉しくひさしぶりに師匠の演奏に触れました。


 あ、このひと天才だ・・・


 そもそもレッスンの時に言っていることが、日本語にもかかわらず半分しか理解できない劣等門下生だったので、習っていた当時に彼の真価なんてまるでわからなかったのです。

 おまけに遊びたい放題の頃だったので、ポッパーのエチュードを初見でレッスンに持っていくなどの暴挙を繰り返すアホな学生だったので、音楽にすべてを捧げるタイプの演奏家の安田さんから見てもぼくは理解不能な人間だったことでしょう。

 それでもとっても大事なことを言ってくれて、いまでもおりに触れ、彼の言っていたことを思い出します。

 そして、彼の面白い言動もちょいちょい思い出します。

 もう10年ほど前かと思いますが、とつぜん電話がかかってきて

「三宅進くんですか? あの~、チェロのハードケースはどこで買ったらいいのでしょうか?」と尋ねられたのには驚きました。

 安いお店はどこか?といった意味ではなく、純粋にどこで買えるか?という意味だったみたいです。

 天才だ・・・やっぱり。



 演奏はけしてニュートラルではなく、きわめて個人的ですが、我々がごまかしている「なぜ日本人が西洋音楽を?」という問いに正面からぶつかっている名盤です。

 二枚組で1500円という申し訳ないような価格。

 とても慎重でグールドを思わせるような内省的なプレリュード、そして突然雄弁に歌うアルマンドなど、今のグローバル化した演奏家ども(お前もだ!ミヤケ!)にはショッキングなバッハ。
 20世紀の大演奏家の時代を思わせます。機会があったら聴いてみてください。