今日から神奈川フィルさんの第9のリハーサルが始まりました。神奈川フィルさんのシェフ、金聖響さんは、ベートーヴェンはできれば、ピリオド奏法のアプローチでやりたいタイプ。

 あ、ピリオドってなんだ?って話ですか? 非常に大雑把に言ったら、その作曲家が生きていた頃のマナーや楽器で演奏する、いわばその作曲家が聴いたであろう音を再現するアプローチです。

 てことは、本当はラの高さが半音くらい現代より低かったり、弦楽器は全員ガット弦、といったことが起きてくるので、現代のオーケストラではそこまでは徹底してやりませんけれど、和声に対する反応なんかは、とっても面白い部分もあります。

 でもそればっかりだとちょっとつまらない。

 僕がよくする話なんですけれど、僕、昔東京製菓学校というお菓子やパンを作る人のための専門学校の講師だったんですよ。

 えっ! そういう隠れた才能もあったのかって? あるわけないじゃないですか! 
一般教養の授業でチェロのコンサートを年に数回やって、レクチャーをしていたわけです。

 そこの学校の教員室には、昔のお菓子づくりの教科書とかあるんですよ。
ヨーロッパのお菓子づくりが進んでいたのはスペインで、1700年代のレシピとかあるんですよ。

 それを書いてある分量どおりにつくると、その当時のお菓子の味に出会えるわけです。面白いでしょ?

 この作業って、我々が楽譜を読んでその音楽を再現するのととってもよく似ています。

 
 さて、レシピを守ってつくったお菓子はおいしいんでしょうか? ずばり先生に聞いてみました。
「うーん、確かにおいしいんだけれど、ちょっと足りないんだよね」

 これって音楽もまったくそうなんじゃないか? 飛行機、新幹線はおろか、電車もない時代の人々と現代の我々では、あらゆる面で刺激が違います。 そこはやはり21世紀の僕達の感性をしっかりいれていかないと!

 そうしてこそ、クラシック音楽は現代で新しい生命を吹きこまれて、次代へと引き継がれていくのだと思います。 かび臭いままだと、博物館にしまいこまれてThe End だと思います。

 金聖響氏の起こそうとしていることは僕はとってもいい部分と、もうすこし説得力が欲しい部分があるかな?と思います。 でも本番で尋常でない集中力を発揮する彼ですから、明後日の調布、そしてその翌日の神奈川県民でのコンサートが楽しみです。


 あー、なんだかマジメに書いてしまったよ、自分でびっくりしますよ。