ロシアウクライナ米国NATO問題については、僕は国際紛争・武装解除の専門家でもある伊勢崎さんの発信に共感するところが多いです。

 

対談相手の元衆院議員の菅野さんの意見というのは、保守系保守、リベラル系保守の双方に一般的に見られる日本の国家として選択している姿勢をおおむね評価する立場でしょうか。

 

これからの時代に大切なのは、こうした問題(まー政治全般ですが)を専門化させずに、民衆が理解を深めて自分の意見を持っていくこと。日本人としては、平和外交についてこの国が果たせる役割を認識し、ディグり、語っていくことだと思います。

 

感情操作に主眼を置いたマスメディアの末端情報に影響される前に、1、2歩上流にある情報を自分で取りに行き、発信していくことが大切に思う。国家も企業も「認知戦」を民衆に仕掛けていますからね。自分の認知の足場を形成していきましょう。

 

 

 

菅野 伊勢崎さんは、日本に仲介者の役割を期待してますよね。それ、できます?

 

伊勢崎 できますかというより、即刻停戦につながることなら何でもやらなきゃいけないと思うのです。

憂慮する日本歴史家の会(2022/3/21声明「憂慮する日本の歴史家の訴え」)が民間の立場から動き出しています。東大名誉教授の和田春樹先生を中心にして、三国(さんこく)、つまり日本、中国、インドの3カ国の政府にウクライナ戦争の公正な仲裁者となるよう要請する働きかけです(https://peace-between.jimdosite.com)。僕はこれに全面的に賛同し、和田先生たちの協議のお仲間に入らせていただいております。

これで日本の政治が動くかどうかはまだ分かりません。だけど、アジアがヨーロッパの紛争に仲介することは、あながち夢でもない。なぜかというと、それと逆のことが過去に起き、和平を実現したケースがあるのです。ASEANができない紛争の調停にEUが関わった。それがインドネシアから独立戦争をしていたアチェのケースです。

結果、アチェは独立ではなく大変に高度な自治を獲得しましたが、その監視団をEUが出したのです。中心となってこれを推し進めたのが、フィンランドの元大統領マルティ・アーティサリです。この時、僕は「武装解除」の専門家ということで、日本政府から派遣され、彼を側面支援させていただきました。

こういう文明圏をまたぐ相互協力があってもいいでしょう。だから僕は、人間の知恵にまだ希望を持ちたい。ナイーブかもしれませんが。

 

https://thetokyopost.jp/special/1565/