「3極」の構図で争うことになったと報道される今度の総選挙。しかし、選挙後に私たちの目の前に姿を表すのは、<自民・公明・希望・維新>による巨大な保守連合体制である可能性が極めて高い。その結果、どんな事態が想定されるのか。

 

ー米軍にすっかり支配された日本の言論空間のなかでは、決して語られることのない多くの事実がある。「朝鮮戦争レジーム」の根幹である北朝鮮問題については、とくにその傾向が強い。だからわれわれ日本人の常識は、世界の常識とまったく違ってしまっているのだ。

 

その証拠に、たとえば今年の8月、トランプ政権の本音をバラしすぎて解任された、トランプ大統領の側近中の側近、スティーブン・バノン首席戦略官の問題の発言を見てみよう(いずれも2017年8月16日のニュースサイト「アメリカン・プロスペクト」より)。

 

「北朝鮮問題に軍事的解決などない。まったくない。開戦30分でソウルの市民1000万人が通常兵器で死亡するという問題を、少しでも解決しないかぎり、(軍事的解決など)意味不明だ」

 

これはアメリカの本音というよりも、世界の常識だと言えるだろう。

1994年の第一次核危機で、「韓国側に50万人の死者が出る」という予測が出たために、北朝鮮への軍事攻撃を思いとどまったアメリカが、どうしていま、本格的な核の撃ち合いなど容認することができるだろう。トランプも、もちろん本当はそのことをよくわかっている。

 

メルケル首相やプーチン大統領が「北朝鮮問題に軍事的解決などない」とくり返し警告しているのは、トランプや金正恩に対してというよりも、むしろ自分たちが一番危険であるにもかかわらず、なぜか声高に強攻策を主張しつづける、理解不能な日本の首相へのメッセージなのである。ー

 

http://gendai.ismedia.jp/articles/-/53127