(今朝方、facebookに投稿したものを転載します)

道具も何も要らないから、素潜りが好きだ。
沖縄へ来て毎年、ツアーから帰るとつかれた身体を癒しに近所の浜へ泳ぎに行くが、浅瀬のほうでは珊瑚の死に方をみて愕然とする。本島の珊瑚は95%が死滅している。生きている珊瑚は僅かで、ほとんどの珊瑚は死んでいる。海水温の上昇、それに伴うオニヒトデの急増、などが理由に挙げられていたが、オニヒトデが減少した昨今では、海水の汚染によって海の生物の個体数そのものが劇的に減少していること、を認めざるを得ない。沖縄では陸の農地から流れる農薬や生活排水、山の破壊によって生じる赤土などの流入が顕著で、これらを改善するだけでも沿岸部の生態系は著しい復活をみせるだろう。企業も行政も、本気で取り組まなければならない問題だが、目の前の経済がなかなかそれを許さない。無農薬農業や自然の形態を活かした治水、発酵菌など微生物の力を活かした浄水などは、景観の復活にもなり観光の資源ともなる。「一手」奥にある豊かさを求める事は、地域の活性につながる最短の道だと思う。
こうした気づきを広めるために、珊瑚の種つけ、保護をムーブメントに仕掛けたい、と目論む地元のシーカヤック屋を知っている。必要とする予算は小さいが内容が濃く、事業者のモチベーションが高い。こうした民間が水際で行う様々な試みを審査、評価して後押しするのが、国の役割であって欲しい。

先日、韓国の釜山空港で中国人観光客の団体と一緒に、保安検査に並んだ。50名くらいの中国人と日本人2名。人の頭ごしに大声で呼び合う無遠慮な集団の中をどつきまわされるように列を進んだ時間は、漢民族の持つ無邪気な危険性を肌で感じる時でもあった。「圧倒的に数が多い」という、集団が持つ無条件な力を良く知っている。順番は守らないで家族を前に入れる。後ろから僕らのパスポートを観て軽蔑したように「ヤポネ、ヤポネ!」と後ろに叫ぶ中年女性。旅疲れの最中、これらに抗う気力は湧かない。圧倒的な、エネルギーだ。この人たちとどのようにして、仲良くするか。まさに「外交」だ。これは昔から、時の政権にとっても、沿岸部の交易人たちにとっても大きなテーマであり続けたに違いない。

近頃、中国から来る珊瑚の密漁船の記事がよく目に付く。
重量化した網で、海底の珊瑚をへし折るようにして巻き取っていく。そんな船が一日に200隻以上、確認されているのだという。海底の生物の生態系も含めて、目を覆うような破壊だ。即座に外交的な対応をとって欲しいが「あれを云えばこれも出てくる」の連鎖でなかなか話が進められないのでは、と推測する。写真に写る中国人船員たちのたくましい生活者の表情の背景には、ショートムービー数本分の人生を感じて好奇心が湧く。宝石珊瑚求めて一攫千金狙って日本の漁場まで来たハスラーたちなのか?はたまた、軍人扮する工作員なのか?ベトナム戦争はトンキン湾で一艘のタグボートが沈められたというデマから始まった。日本近海には、紛争のタネになる「機雷」が沢山浮いているように見える。もしも相手が、喧嘩を一向に厭わない態度で、こちらが強圧的に出ても「抑止力」にならない場合、どのようにして上手に切り抜けるべきだろうか。ましてや、国内にも流血の惨事をのぞむ見えない力が漫然と働いていたら、どうであろうか。「平和」の実態をよく理解したい。国際的な環境法の制定と、生態系の保全・監視体制のための各国の予算投下。国連軍的に「地球防衛隊」を設置、なんてハナシが空想で済まされない現状がある。かつては尖閣沖の漁場で、台湾、八重山諸島、韓国の漁師たちが船越しに酒を酌み交わすような文化もあったと云う。国という枠を超えた発想で、しかし厳然と在る国境線の狭間で、僕ら一人一人に何ができるだろうか。

個人的には、一緒にフェスやモノ、デザインを作っていきたいと思っている。オスプレイ一機分の予算(100億と見積もって)で、途方もない事が出来るんだけどな、などと妄想する。日中の友好プロジェクト。これにまつわる人々は、もっと意志を持って予算を取りに行ってもいいんじゃないかと思う。軍需産業や金融産業がそうするように。

父島沖、サンゴ密漁船に記者が接近 笑顔で手を振る船員(ASAHI DIGITAL)
http://www.asahi.com/articles/ASGC27FTFGC2UTIL025.html