(レコーディングをふりかえって)


あれは、2011年2月だっただろうか。横浜ストーブスで集ったのを覚えている。
珍しく最初に僕が着いた。
次にきた竜太が「治ったよ」という代わりに、2ヶ月前にスケボーで折った右手で握手してきた。
「!」
ギターが弾けなくなるかと危ぶまれたが、脅威の回復だった。
Peace-Kと元晴が着いて、喜びに湧いた。
jazzysportから雅也が来て、最後に眞樹(しんじゅ)が着いた。

大物アーティストのツアーを断って「バンドに専念する」。
眞樹がみんなに決意を伝え、(仮)ALBATRUSの躍動する2011年が始まった。

1stアルバム制作と旺盛なライブ活動が約束され、熱いハグと共に、
定まらぬを定めとした(仮)ALBATRUS号は(仮)のまま飛び立った。
はずだった。ー

3月、東日本を揺るがした大きな地震と津波、そして原発事故。
放射能をめぐる価値観はそれぞれの決断を異にして、行動を分つ。

沖縄に移住した僕とPeace-K。関東に残った竜太と眞樹と元晴。
東日本へのツアーに行く僕。東日本へ今は行かれないPeace-K。

バンドでの活動日程は棚に上がり、モチベーションと混乱だけを持て余した僕らは、
それぞれを理解しようと、コミュニケーションを繰り返した。

「とにかく、予定通りレコーディングをしよう」
色んなものを手放して東京を去ったが、すがりつくように手放さなかったもの。
それが(仮)ALBATRUSだった。

遠く隔てた距離を埋めるために、限られた日程の中で沖縄に集まり、
8月と11月に、一発録りによる奇跡のセッションが繰り返された。

珠玉の8曲は、我々自身が「音楽でひとつになろう」と魂から鳴らしたバンドサウンドである。

その後数ヶ月に渡って、4回マスタリングを施すほど音像にこだわり抜いたが、
最後に採用されたのは最初に録音スタジオで構成されていたミックスだった。

あの熱い、嘉手納(かでな)のスタジオで鳴っていた音だ。


もしも此の世の美しいものに共通することがあるとしたなら、
それはすべて過ぎ行く時間の中での一瞬の儚(はかな)い煌(きら)めきである。

瞬時の中に凝縮された、スパークする熱と光の中には、永遠の一回性へと消え行く自由がある。
答えを求めて長い旅路につき、幾つもの目的地で旅そのものに答えが在った事を確かめる。

ジャズやロックが、ジャムってセッションするってのはそういうことだ。

その不確かさに恐れおののきながら、道なき道を冒険することを仲間と共に喜び愉しみ、
命の灯を燃やした軌跡が、見事にパッケージングされた。

この行為そのものが、此の時代に此の場所でカルマ鳴らす僕らのメッセージである。



三宅洋平 (仮)ALBATRUS / jazzysport



2012.5.30 (仮)ALBATRUS / ALBATRUS / 1st album CD on sale!


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Artist : (仮)ALBATRUS
Title : ALBATRUS
Label : Jazzy Sport/JSPCDK-1008
バーコード : 4582202050589
File Under : Soul/Rock/Jam etc. CD
定価 : 2500yen(税込)
発売日 : 2012/05/30(水)

Track List
#1 All Blues
#2 Welcome To The Albatrus
#3 祝島帰り
#4 コーヒー・ルンバ
#5 ミエナイチカラ
#6 1/470 Party People
#7 Feel So Good
#8 ジプシーソング


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