ふと、部屋に落ちていた数枚のレジュメを読み返した。


「エコロジカルな社会は、複数の小規模自治体によって構成される一個の自治体ーーさらに小規模の自治体のひとつひとつは<複数のコミューンの集合体から成るコミューン>によって構成されており、それぞれの自治体はエコ・システムと完全に調和しているーーによって構成されると考えることは、決して馬鹿げた発想ではない」(マレイ・ブクチン Murray Bookchin)


調べたところマレイ・ブクチンというのは、米国の自由社会主義の活動家、作家、哲学者のようだ。
ソーシャルエコロジー (social ecology)や、コミュニズム(communism)の提唱者である。

僕は6月から沖縄で
パーマカルチャー(持続可能な、循環する食とエネルギーの自給システムを組み込んだ、自然と調和する暮らしのデザイン)の勉強を始めたばかりである。

*パーマカルチャーの定義
(by Bill Morrison ←パーマカルチャーのパイオニアのオーストラリア人)

パーマカルチャーというのは、人間にとっての恒久的持続可能な環境をつくり出すためのデザイン体系のことである。 パーマカルチャーという語そのものは、パーマネント(permanent 永久の)とアグリカルチャー(agriculture 農業)を縮めたものであるが、同時にパーマネントとカルチャー(文化)の縮約形でもある。

文化というものは、永続可能な農業と倫理的な土地利用という基盤がないことには長くは続きえないものだからである。

バーマカルチャーには、植物、動物・建物および(水・エネルギー・コミュニケーションなどの)生産基盤などを扱う側面もある。
しかし、パーマカルチャーは単にそれらの要素そのものだけに関わるものではない。


自然農や、味噌作り、酒づくり、醤油作り、家作り。
これらは4、5世帯の家族が仲良く協力すれば、実は「愉しい」の範囲内で終わり、
さしてストイックな作業にならずに済む。
現代の家庭は、ひとつひとつが孤立しており、近所の協力がスムーズに成立する社会環境作りが成功しているとは云い難い。

近距離で暮らす数世帯が協力しあえば、少し値のはる草刈り機などは数件の持ち回りで所有できる。
そうした「持ち回り」制度によって、世の中から重機の数は減って良いと思うし、家庭に一個づつなくても良い家電も、実は沢山ある。

僕のようにツアーに出るものは、留守中の畑を他の家族にみてもらえたりする。
それぞれの特技、手の職を活かしたお店を開いたりもできる。

ちょっとした行政への訴えごとなども、ミナで話し合って協力すれば、個人でするよりもやりやすい。

当ブログで何度も繰り返す数字だが、
ドイツの行政訴訟(市民が国、行政を訴える事)は年間50万件。日本は1800件。

こうした最小単位の力強い「ムラ」つまり「コミューン」を形成すること。

そしてそれが、社会を構成する元素の単位として「クニ」よりも大切にされること。
この最小単位の「コミューン」の声が、政治の基盤となること。

これらコミューンが、また地理的なくくりでひとつの小規模自治体を形成する。
それぞれのムラで尊敬される「長老」みたいな人が集まれば、その中の「大長老」が自ずと顕われる。

選挙で、顔も名前も知らない人を選ぶ必要はない。
あなたが困った時には必ず相談に行く、あのおじさん、あのおばさん、あのお兄さん、お姉さん。
長年の付き合いの中で自然と皆の信頼を得た人が、「町内会」規模のマツリゴトを議長して、ものごとはミナで「評議」して決めて行けばいい。



ローカリゼーション

地産地消や、地域通貨などを実践し、世の中のコントロールを市民の手におさめる。
わずか3人の大富豪(世界のTOP3)が、最貧国50カ国を全て買い占めることが出来るような、不平等な世界のバランスを是正する。

そのためには、そうした産業社会のドンたちが、流通経済と金融経済を利用して富を集約してきたシステムから、最大の消費者たる我々が足を洗う必要がある。

そうして、どんどんと「小さな地域」の「自律」を促して行くのだ。


他にも気になるワードが踊るレジュメから引用ーー

「イタリアの「コムーネ=新しい自治体」のネットワーク(自覚的で責任のある自律自治のプロセスを奨励し、また、グローバル経済の見えざる手という外部からの操作(他律的な管理)を拒否しながらも、地域の資源および特性を価値づける政治的なプロジェクト)、アーバンビレッジ、スローシティ

「こうしたプロジェクトは、地域に深く根差しながらも閉鎖的でも自己中心的でもなく、むしろ逆に開放性、さらには(域外の他者に)贈与することや(域外の者を)受け入れることといった寛容さを前提とします。」

「地域は閉鎖的な小宇宙ではなく、自由主義経済の支配への抵抗を可能にするような、民主主義を強化する諸実践(例えば参加型予算)を試みるための、有徳性連帯感をともなう横断的な様々な関係のネットワークにおけるひとつの結節点である」(Bookchin)

地域が食とエネルギー、経済に関する自給体制を整えられればそれで良しというわけではなく、非人間的な力による支配に対抗するためのネットワークの構成要素となっていく社会イメージ



食料と家のツクリ方を身につけたら、もっとも「REBEL」で「PUNK」な自由意志を貫いて生きて行けると思って居る次第です。世界の何処に行っても「地球が家」となるような、逞しい自分作り。ムカシビトにあって、現代人が失いがちなタフさを取り戻す試み。

皆さん、エネルギー問題を考える際には、自分自身がエネルギーを作り出し、或いは生み出している者であるかどうかを問うていきたいものですね。



・沖縄パーマカルチャーネットワーク

・パーマカルチャーネットワーク

・レジュメに紹介してあった、このNPO"懐かしい未来"のサイトも参考になる情報多いです