3月26日ー

震災から2週間を経た、週末に

沖縄県名護市の公民館の前で、モンゴル800,NO PROBLEMSの清作君やPeace-Kたちがチャリティライブを企画し、俺も立ち寄らせてもらって飛び入りした。

震災からの傷。
反原を訴えていた頃から理解されずに苦しみ、事が起きた直後からも内部被曝の危険性を訴えて理解されずに苦しみ、不安を煽るなデマを流すなと叩かれ、かねてからイメージしていた沖縄に安住の地をみつけた事を理解されずに「逃げやがった」「裏切り者」と揶揄されて苦しみ、住み慣れた街を突然予期せずに離れたことに戸惑い、何より関東に残った仲間や家族と心が繋がれなくなった事に苦しみ、
正直俺もPeace-Kもボロボロだった。いや、みんなボロボロだったんだな。

借りたギターで飛び入りしたライブで『意識の大陸』を唄う前に、Peace-Kと目を合わせ、
「あ、一緒に音楽やるの、久しぶりだね」と呟いた。

超然と大きなバイブスを発する、絶対的守護神のリズムマン、Peace-Kがいつもよりずっと小さくみえた。それでも、俺たちは此処で、この瞬間から、ゆっくりと新しい時代に向けて、また音を鳴らし始めたんだと、一条の小さな喜びの光が、差し込んだ気がした。

無我夢中だった震災1週間後。
到着したばかりの沖縄にて行われた、喜納昌吉や沖縄ロック協会、ジャズ協会らが共催の、那覇・国際通りでのEARTH AIDチャリティライブは、よく覚えてない。唄い終わった後に抱えて歩いた募金箱に、通りすがらの人々が次から次へと入れてくれた募金がズッシリと重たくて、ありがたかった事しか覚えてない。

それ以来1週間ぶりに手にとったギターが、ツルツルと手に馴染まない。
声もうわずって、なんだか自分じゃないみたい。

『意識の大陸』は、いつも思いつきで、らぞくの『HAPPY HARVESTA』の一節を入れたり、
即興で色んな歌を入れ込むのだが、この日は、犬式時代の古い歌、
山形・蔵王の実家の自然を唄った『レゲミドリ』の春の一節が脳裏に飛び込んで来た。

「春が来て 花は咲き まんさくの花咲く丘に 風は駆け上る
 春霞 故郷に 響き渡る雪溶け雫 揺れる花梨の花びら
 束の間のまどろみに見た楽園は 雲の上を流れて行く
 あなたの心の冬景色も いつかは必ず晴れますように」

陽光にさらされてよく見えなかったが、Peace-Kが号泣しながらカホンを叩いていた。








津波の被災地はもっと遥かに大変だったろう。
俺たちには逃げることが出来たのだから。

だが、この際、何処に居たってみんな被災してるんだと思うよ。
それぞれに不安を抱え、それでもいつも通りの日常を推し進めていかなきゃならないフワフワした
ところに居るのだって、精神的には相当きついと思う。
それに無自覚で居ることのほうがよほどおかしいじゃないか。
その無自覚が、原発政策を消極的に推進した大多数を生み、今回の事故につながった気もする。

真実よりも、政府や電力会社、或いはもっと大きな資本や世界政治力の前に、ねつ造されていく
甘い情報に支配されていく社会の在り様が、相変わらずで目を覆う部分もある。

無論、変化を望む声も、希望の力も働き始めたが、面倒くさいことはしたくない、という雰囲気が
ダイレクトな被災地以外には、ソコカシコに存在している。

この日に在るはずだった神戸でのライブをCANCELせざるを得ないくらいに俺は一度、力尽きた。
(その節、山口、広島、神戸、そしてCANCELした4/24葉山、4/23アースデイ東京。許してくれとは云わないが、がっかりさせてごめんなさい。)

それはライブを企画した側の人間にも大きなダメージを与え、今も続いている。


僕らは何を失い、何を見出すのか。

何を手放し、何を得るのか。


日々刻々と変化するのは福島原発たちの機嫌だけじゃない。

俺たち自身もだ。


政府はもっと広域な避難を、全力で敢行するべきだと思うが(最低限200キロくらい)
彼らにその力がないことはもう良く解った。

情報どころか、プライバシーも独りの時間も持てない、津波や地震で負った心の傷を癒すイトマすら持てない、
過酷な避難生活を1ヶ月以上続けている人達には、
深刻な真実を受け入れることが難しいのも良く解った。

魂の存在する大地を、死んでも離れたくない気持ちの人が居ることも解った。

そして、距離や立場で人々がいがみ合ったり、起こした行動で憎み合うのは御免だ。

運命が平等でないことは、地震の前も後も変わらない。

それでも仲良く暮らすのが、我々が一緒に居る意味だったはずだ。

ならば今は、余力のある人が、精一杯の行動を起こそう。

俺も5月に被災地へライブしに行くことにした。



基地のことで、張本人であるはずの本土の人々の関心から見放された気持ちで居た沖縄の人達が
この度の震災に対しては、関心を示し、県も数日で受け入れ体制づくりに、
10億円の特別予算を組んでいた。
(何故か、諸般の圧力により、各県のこうした動きは封じ込められ、去勢されつつあるが)

痛みを知る人々は、痛みを理解できるのだ。

まんずその余裕はまだ無いだろうが、東北の人々も
現状を克服する事が後年、多くの人を救える貴重な経験になると信じてほしい。

だから、つらくても、誇り高く、生き抜いてほしい。



おい、此の世界は大きく間違ってきたようだぜ!

俺たちが信じ込まされて来たものの多くが、極々一部の誰かにとって都合の良い作為なんだぜ!

本当の市民世界を、形成するためには、まずアナタ自身が覚醒して、実践するのが早い。

「生活」の在り方こそが、世界を形作っているのだから、
無自覚にジャンクフード喰ったりすることは、幾つかのプロセスを経て、
誰もが望まない世界を形成することに加担してしまうんだ。よ!

いきなり全てを変えたり、卑下したら続かないだろうから、
いっこづつ、いっこづつ、やっていくしかないよね。


ちばりょー 東北 !!!!
ちばりょー 日本 !!!!

まだ大多数が全然きづいてないけれど、
ちばりょー 地球 !!!!



(映像)
0326@名護市港公民館 ちばりょーとうほく! チャリティライブ
Peace-K & YOHEI(三宅洋平)"意識の大陸” (犬式tune)