【東北からはじまった本当のおわりのはじまり】

2011年の皮切り。
三宅洋平(A.G/VO)とPeace-K(Per/EFFCT/A.G/HAN/VO)のアコースティックセットツアー。

1月5日那須高原のバーガーショップUNICOから始まった
『グレゴリオ暦的新年明けましておめでとうございます。ツアー』では、
途中でそれが旧暦的「師走」を走らされている事に気がついた。


【各地のローカル文化人たちにRESPECT】

東北の入り口、那須高原で寒さに身を馴らしてから旧犬式号で秋田へ移動。
雪中、寒波襲来の日本海側への移動では、深雪の月山道など神秘的だった。
ある種の魔境を幾つか通り越えていくのが、通例良いツアーである。
日本を深々と、まざまざと、みせられる。

「一番大変な時に来たね」と迎えてくれたあったかい人々と共に、由利本荘BLESSと秋田YOKKEの二箇所で二晩の熱い夜を形成。秋田の奥さんの実家に帰ってきていたRAS-T(ピアニカ/EFFCT/VO)も加わってのセットは、2夜とも厚みのあるアコースティックDUBセッションを織りなした。これはまた、新しい発見だった。

由利本荘 BAR BLESSの安保くん。そしてそのスタッフたち。安保くんたちが作り上げている、秋田、厳寒の冬の海に入るローカルサーフカルチャーと、音楽シーンに、大敬礼!RESPECT!

東北小旅行の千秋楽、4箇所目の会津若松CAFE SAVAIは年初めの「十日市」の日に、これまた深い雪と同じくらい降り積もる人間のたぎる血潮と音楽。白い雪景色に走馬灯のように踊り写る集いし人々の日々の想念。

翌日、3箇所目の温泉につかって東京へトンボ帰った夜に(仮)アルバトラスのリハーサル。
皆とスタジオ初め、相見える(あいまみえる)貴重な時間でワンマンと安比に備える。

竜太の右手首の粉砕骨折からおよそ一ヶ月が経っただろうか。
トラで入った「坊ちゃん」は、少ない機会を活かして毎回熱いソウルで応え、適応していった。

僕らは竜太の不在でも、新曲「ミエナイチカラ」を前に進めることにした。


じゃあ、俺とピーちゃんは香港に行ってくるね、
皆とハグして別れて束の間の帰宅。


【そして香港へ】

翌日、Peace-K嫁の半ちゃんも合流して香港へ飛んだ。

(*「今日は空いてるから」と、ギターやハンを始めとした機材をことごとく持ち込ませてくれた香港航空の計らいに大きく感謝。)

行きの香港便は、気流に逆らって進むのだろう。よく揺れた。
機上で『ALICE IN WONDERLAND』を観始めたのだが、良く動くファンタジックな画面と飛行機の揺れが同期して「終わらないスターツアーズ」状態と化した。
始めはおもしろがっていたのだが、間もなく酔い始めジョニーデップが登場する前にギブアップ。
がーん。


【香港の虎】

香港で10年、仲間達と商社を営んできた東京人「虎」くんが、僕らを呼んでくれた。

確か昨年の6月頃に、
たまたま彼が帰国中に静岡のBLUE NOTEで観た僕らのライブに飛ばされてから、話は早かった。


【熱い3連荘】

香港BASEMENTー深圳(中国)True COLORー香港RAKU EN
3箇所それぞれに、熱いライブになった。
(深圳は、Shenzhenと読む。日本語では「しんせん」と表記。)

PとHANの夫婦(めおと)α-timeで、既に聴衆は「???何人???誰???」状態に気持ちよく誘われ、レゲエやサーフ音楽に通ずるジャパニーズオリジナルまったりワールドで宇宙遊泳。

そこへ三宅が登場して、アコギ弾き出して三人ワールド。
全くの無名ながら、人種の入り交じった聴衆に英語と日本語を半々くらいで、いつも通りに語りかけながらやっていくと、みんなどんどん乗って来て熱いクウキになっていく。

スティーブ・ミラーバンドのFLY LIKE AN EAGLEのカバーを演ってから「REVOLUTIONなんていう大きな言葉じゃない。それはJUST A DAILY THING。YOUR THING。yeah! AND WE DON'T HAVE TO BE A PERFECT THING. WE'RE JUST A HUMAN BEING! AND THAT'S OK! yeah! 」とか叫べばもう、shyな日本の5倍くらいの伝導率でビッシバシ帰ってくる。

スピーカーから先で世界はつながってる。

その世界に居る人の数は中国の人口よりも大きい。

国ですらない、その新大陸の名もなき数多(あまた)の自由なる野生動物たちである我々が、世界をもっと美しいものに出来るに違いないよねー

とかって、また日本語で話すと、分かる人分からない人変わらず聴き入ってくれる。

ライブが終わってから、「日本語を勉強しておれば良かったと今日ほど思ったことはない」と真顔で語りかけて来た欧州人が現れたり、Peace-Kの顔の15センチ先で唾を飛ばしながら100回ほど「YOUR MUSIC SMELLS...LIKE........HUMAN BEEEEEINGGGG」と唸った208センチのカナダ人や、「何故おまえがスペイン人じゃないんだ?!どうして日本人なんだ!?」と云ってくる男や、中国・深圳でラガバイブスをぶっとく広めているイタリア人MAFIOは優しく微笑み「EXCELLENT」、そして「素晴らしいパフォーマンスだった」と握手を求めてくるHONG-KONG B-BOY DJ K-MELO。


(つづく)

(後編はこちら)