2024年2月28日、共同通信社の記者にビデオ通話で取材に応えました。

 

マスコミ関係者は、「性同一性障害」の治療に健康保険を適応する方向で話しが進んでいるようだが、世界的な診断基準が変わって精神科の病気ではなくなったこと、2023年10月に最高裁判決が出て性別適合手術を強制するのは憲法違反であることが明示されたため、違法な手術に健康保険を適応するという話しは、なくなっていくだろうとお話ししました。実際、男性ホルモン注射だけなら、当院ならエナルモンデポー250mgを月に2回うっても、2,200×2=4,400円です。FTMでは、男性ホルモン治療だけで性別変更が認められるケースが出始めているので、大幅にハードルが下がったと言えます。FTM+普通の女性の若いカップルで結婚を希望したり、男性ホルモン治療を長年継続して50歳の女性の閉経年齢になっているようなケースでは、性別適合手術なしで性別変更申し立てが認められるようになったのは僥倖と言えるでしょう。ただし、子宮・卵巣を摘出すると、更年期障害(卵巣欠落症候群)がでて、ホットフラッシュや不眠・抑うつ・イライラの症状に苦しむ患者さんもあります。対策は、男性ホルモン注射の増量だが、男性ホルモンは、そもそも女性の身体に良くない。多血症や肝機能障害、高脂血症・高尿酸血症など多くの副作用を伴うため必要最小限の投与を心掛けるべきだと考えています。

 

過去の話で恐縮ですが、こんな身体になったのは、手術のせいだ!手術を強制した国家が補償しろ!!と言った患者さんもありました。自分で望んで子宮・卵巣を切除したのではないか?・・・。法律で強制されて、本当は手術を受けたくなかったが、泣く泣く手術を受けたと言い立てれば、旧優生保護法の二の舞いです。昭和の時代、障害者に不妊手術を強制したが、時が流れ平成になってから人権侵害とされ国が被害にあった人たちに賠償を行っているのとそっくりになってきたと思います。いずれ国を相手に訴訟を起こす人も出てくるでしょう。

 

一方、FTMで男性ホルモン治療だけで性別変更が認められれば、戸籍上の性別変更(女→男へ)ができたところで、普通の女性と法律婚ができる。仮に、結婚後FTMの人が男性ホルモン治療をやめると、排卵・生理が復活し、脱男性化して、乳腺・子宮・卵巣はすべて温存されたままなので、外見上は女性同士で結婚したカップルに限りなく近づいていきます。こうなると、台湾(2019年に東アジアで初めて同性婚を合法化)に続き、日本でも同性婚が認められる日は近いのではないか?と予想されます。

 

共同通信の記者によると、MTFの外観要件を外す判断が間もなく出るらしいが、もしOKとなるとこちらは大混乱に陥るのではないか?・・・女子トイレ・公衆浴場・ロッカールームなど、女性の聖域とされるスペースに、男性器のついたMTFの人が混在するのには、普通の女性から大ブーイングが起こるのは目に見えています。MTFの自由権よりも、女性の生存権を優先せよと片山さつき議員がネット番組で述べていたが、正論だと思う。もしも外観要件が外れれば、早急に法律を整備して、男性器を温存したMTFの人には、性別変更は認めても、「行動規制」を課して女性専用のスペースに立ち入れないようにするルール作りが必要だと思う。完全に女性と同じ扱いを受けるのは、今まで通り男性器を除去して、完全に女性化したMTFの人だけに限定するべきではないか?