視察2日目:長野県茅野市 CHUKOらんどチノチノ

 

以前より、「子どもたちが作り、運営する児童館」ということで噂に聞いていたチノチノの視察が実現しました。

 

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Q.チノチノとは

A.茅野駅前の商業ビルの2Fにある、中高生のみが利用できる居場所施設(児童館的施設)。570㎡。

平日13:00~19:00 土日祝10:00~19:00

キッチン・ダンスルーム・音楽スタジオ・学習室・卓球&クラフトルーム・多目的広場・シャワールーム等があり、無料で利用できる。

1日平均57人が利用している。

※開館時 事業費 11,6389千円、H28年運営費5,177千円。

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Q.設立までの経緯

A.H13.3、市民ワーキングから「どんぐりプラン(茅野市こども・家庭応援計画)」策定。

子ども自身が何を望んでいるかを反映させるために駅前アンケート等を実施。

※この頃、駅前再開発ビルのキーテナント撤退に伴う駅前空洞化対策が課題となる。

 

→2001年(H13).9月 こども建設委員会発足。中学生18人高校生9人が会議を重ね、

12月、設備や施設のレイアウト等を市長に提言。

「ここまでやってきたので運営面も自分たちでやりたい」と、完成後の運営も担うことに。

市長は「予算と拒否権だけもらって後は全部任せる」 

会議の中で、「大人がいると話しにくい」と退席してもらう場面もあった。

 

→2002年(H14).1月、大人サポート委員会発足。あくまでも子どもが主体なので、「相談があるまではじっと我慢し、見守る」ことを大切にした。

 

→2002年(H14)3月、大人との意見交換会:4月のオープンを前に、地域の大人から不安の声(非行の温床になるのでは等々)が寄せられたのを機に、「大人から直接声を聴き運営に役立てたい」と開催。

「問題があったら無くなってしまうことは理解している。中高生を信じてほしい」と理解を求める。

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Q.活動内容・メンバーについて

A.利用上のルール作りや、運営を主体的に行うことで、自治を行える場になっている「中高生の自治区」。

料理をして食べたり、卓球、自習、音楽やダンスなど、自由に時間を過ごすことができる。

地域の行事や保育園に出てライブやダンスを披露するなど、自分たちの力を発信することができている。

お花見・キャンプ・餅つきなどを企画。

 

毎年、利用する中高生の中から、8名~27名ほどで運営委員会を構成。

※同ビル内 幼児向けの施設「0123広場」も市民主体で運営されている。

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Q.大人の役割・大人のスタッフ体制

A.市民や行政関係職員で構成する「大人サポート委員会」は、子どもたちが困っているときにアドバイスをしたり、必要に応じて意見交換を行い、大人の立場の意見を言う。

スタッフ:館長1名/相談指導兼任期付き正規職員1名(元こども運営委員会メンバー)/相談指導員2名

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Q.成果・メンバーのその後

A.自己肯定感を高める。自己実現。「ながら相談」(居場所という日常の中から悩みを拾える)で支援につなげることもできている。

運営委員には、地域に戻ってきて、チノチノのスタッフになった人や、地域で起業している人も。

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まとめ:開館当時の矢崎市長の「心ある市民に任せれば、行政だけが作るよりも良いものができる」という言葉に、チノチノが実現した全てが現れていると感じました。

「こどもには自浄作用があり、信じてもらえれば自分たちで解決していく」「任せたからには信じていく」という大人のスタンスが印象に残りました。

 

また、茅野市役所では、「教育委員会こども部」の中に

・「こども課」(こども家庭支援やチノチノ)、

・「幼児教育課」(幼稚園・保育園)、

・「学校教育課」があり、

児童福祉と教育が連携する組織体制となっている点も特筆すべきだと思います。

こども施策がうまく行っている先進市では、「教育部門と福祉部門の連携」が密で、場合によっては茅野市のように統合されている例が少なくありません。

国が「文科省」と「厚労省」の縦割りであることがそもそもの弊害ですが、自治体レベルでそれを乗り越える取り組みが行われており、清瀬市としてもぜひそうあってほしいと思います。

 

清瀬市でも南口児童館の建設の構想が動き出していますが、実際に利用する子どもたちにとって居心地のいい場所になるよう、設計の段階から子どもたちの声を反映させ、子どもたちが運営にも関わっていけるような場所にできたいいな、と、改めて感じました。


また、清瀬市の課題の一つである「長期休みの小学校高学年の子どもたちの居場所」については、学童クラブの拡充が不十分な中、学校施設で行っている「まなべー(放課後子ども教室)の長期休みの開催」が現実的だと私たちは考えています。

が、現状の「まなべー」は低学年の利用が多いようです。

それを高学年が来たいと思えるような場にするには、子どもたちが自分たちでルールを作り、自分たちでやりたいことを企画するような仕組みが有効ではないかと考えています。

学校には、調理室・音楽室・図書館・図工室・プール・体育館・校庭など、チノチノ以上の設備が整っています。

市内の公共施設にも、それほどの機能は備わっていません。

現状清瀬では、長期休みは学校施設は利用されていません。

 

財政が限られる中、その貴重な資源を活かして行くには、教育と福祉の連携がカギです。