日本変形菌研究会の会報「変形菌」の40周年記念号が送られてきました。この記念号では粘菌をモチーフにした現代アートや映像作品、オブジェ、アクセサリーなど様々な分野での粘菌に関わる芸術の特集を組んでいて、6人のアーティストが寄稿しています。

 例えばヘビヌカホコリをモチーフにした女性アーティストのシルバーのブローチは去年娘にプレゼント用に買おうかなと思ったこともありました。

 ミリペンと水彩で粘菌や小動物のリアルなイラストを描いている作家さんの作品は、リアルさの中に愛嬌のある表情が出ています。

 今回初めて知ったのは野外で採取した変形菌の子実体を乳鉢ですりつぶしてそれを絵具にして描いた現代日本画です。ススホコリとかドロホコリの様に子実体が大量に採れる種類が良いそうです。昔から日本画では岩絵具というのがありましたが、これには驚きました。

↓ これは本物のヘビヌカホコリです。プレッツェルの様です。

 

 話は変わるのですが、森の中の倒木に発生している変形菌を見つけたとき、翌年同じ倒木を見に行っても、倒木が一層朽ちて変形菌がほとんど発生してないことをしばしば経験します。これは倒木は朽ち果てると変形菌も育たなくなるからです。倒木の自然発生を待つ他力本願の姿勢では、変形菌の確実な観察は期待薄だと思います。

 

↓ 私の畑の端の日陰に設置した各種朽木(5/22撮影)

 そこで、私名義の山林の端の部分や上の写真に示した畑の日陰の部分に各地から集めた各種の朽木を運び込み、積み上げて、変形菌を観察する自前の調査地点を設置したことは既にブログで報告しました。写真のヘビヌカホコリは昨年11月に私の畑の端に積んだ朽ちた太枝に発生していたものです。

 

 先週(5/14)、私の山林の端の日陰の斜面下に積んでおいた朽木の太枝に白い飯粒のようなものが発生していました。これは未熟なムラサキホコリの子実体です。みずみずしく、新鮮な感じがします。

 

しかし、翌日見に行くと、すっかり成熟した子実体に変身していました。爪と指先みたいに見えます。

 

これはムラサキホコリが発生した、山林の端の日陰の斜面下に積んである朽木です。スギの落葉があって、雑然としていますが、上記の写真の畑の端の場所より広く、朽木の本数もずっと多いです。(5月29日撮影:写真を追加しました)

 

 今週は隣家の空き地に放置してあった各種の朽木を譲り受けて、軽トラで2回、畑の端の観察地点に持ち込みました。ここは柿の木や栗の木、ヒノキの大木などの日陰になって、キノコや変形菌が出そうな雰囲気です。既に子嚢菌類のマメザヤタケとそのアナモルフが苔むした朽木に沢山出現していました。

 自分で言うのもなんですが、変形菌やキノコを探してやみくもに森の中を歩き回るのは非効率だと思います。これらの観察地点では常に各種の朽木を補充しているので、継続的に変形菌やキノコの観察ができるのではないかと思っています。