今日は雪がちらつく寒い日でしたが、晴れ間をねらって実家裏山に行ってきました。

太い松の枯れ木にベビーカステラの様に一口で食べられそうなキノコ(別の表現では ハマグリとか栗饅頭の様な)が出ていました(青い矢印)。これは「ヒトクチタケ」といいます。この名前は成長すると底面にひとつだけ穴(口)が開くことに由来しているそうです。

 

私はただの小型のサルノコシカケだと思ってあまり関心がありませんでした。

しかしよく見るとキノコの周辺に直径数㎜~1cm位の茶色い丸い塊(赤い矢印)が発生していました。これはいったい何だろうと思って観察してみました。周囲の状況から丸い塊はこのキノコの原基(キノコの赤ちゃん)ではないかと思います。

 

↓ キノコの上半分は薄茶色で、下半分が白色です。この様な上下2色で砂糖がまぶされたベビーカステラを昔よく食べました。

この松の木の葉の枯れた状態を見ると、枯れてからまだそんなに年数が経っていない様に見えました。一説では枯れてから2年目の松の木に発生するとか言いますが。

 

↓ 下半分が白いのは茶色い表皮が剥がれたためと思われます。 従って発生したのは昨年だと思います。

 

↓ キノコが古くなると裂けてきます。見やすくするため手で割ってみました。下半分は空洞で、上半分の底面に多孔質のサルノコシカケの底面の様なものが見えます。

「ヒトクチタケと昆虫」を検索ワードにしてインターネット検索すると大変面白い情報が得られました。多孔質の部分には虫を引き付ける匂いがして甲虫のような昆虫が寄って来て、このキノコの胞子を昆虫に拡散してもらいます。

 

 

↓ 松の樹皮から赤茶色の塊が出てきます。菌体は松の枯れ木を加害する虫が開けた穴から出てくるようです。

 

↓ 赤茶色の塊は触ると固く、爪で無理に割ってみると内部は白い緻密なものでした。

 

 

↓ 色の薄いものもあります。

 

↓ キノコになる途中?

寒くなって成長が止まったのかもしれません。

 

ヒトクチタケと昆虫の協力関係は大変興味深いです。独特の臭いで昆虫を引き寄せて胞子を拡散してもらうキノコにはカニノツメとかツノツマミタケなどがあります。以前ツノツマミタケを見たことがあるのですが、朝キノコが発生すると夕方にはしぼんでしまいました。その点ヒトクチタケは長く形を保ったままいられるので観察に適しています。