粘菌(変形菌)に興味があるとか、それを飼育しているとか言うと、「年金」の話になることもあるので、南方熊楠で有名な粘菌だというと、やっと分かってもらえます。人によっては高尚な趣味ですねと言ってもらえることもあるのですが、粘菌を飼育して何か良いことがあるのですかと言われることが多いですね。

 

確かにただ単に粘菌アメーバを飼育し続けても進歩がありません。目標としては下図に示したように、粘菌(変形菌)のライフサイクル(生活環)を自分で再現してみたいと思っています。

 

 

大きくなったアメーバから子実体への変身は簡単で既に実験済みです。

子実体の胞子が発芽すると胞子の大きさくらいの微小なアメーバになります。英語ではこの微小アメーバをslug(ナメクジの意味)と言います。この微小アメーバにはプラス(+)とマイナス(-)のものがあって、それらが合体すると以後大きいアメーバに成長すると言われていて、この過程が再現できればライフサイクルが完了します。ここが難しいところです。

この微小アメーバはオートミールの様な大きいものは消化できませんので、野外では主に種々雑多なバクテリア(細菌)を餌にしています。粘菌に関する本を読むと、飼育する場合は「大腸菌」を餌にするとか書いていますが、一般家庭では無理です。試薬や実験器具、備品が全くない環境で、どうすればバクテリアを餌に増殖させられるのか思案中です。納豆菌はすぐ手に入りますが、粘っこい成分が邪魔をしますし、乳酸菌はヨーグルトの種菌として販売されていますが、粘菌の餌としては評判が良くありません。細菌ではありませんが酵母はパン作りに必要なドライイーストとして市販されていますが、細菌に比べると形が大きいです。いま無い知恵を絞って考え中です。何か分かったらまた報告します。