「よく分かんない」
「………え?」
うーんって唸ってしばらく考えた後、雅紀がまさかのよく分かんない宣言。
え、待って。
ガンって、勢いよくブロックとかが脳天に直撃したぐらいの衝撃。頭の中が真っ白。
星も飛んでいる。
分かんない?
分かんないって、何?
ついさっき言ったよね?
俺と雅紀の認識にズレはないって。雅紀が。即答で。
え、待って。
何の認識?
気持ちの認識じゃないの?
まさか、俺ってただ雅紀の『そういうこと』への興味を満たすだけの存在なの?
え、顔だけなの?
俺の気持ちは?
え?え?
衝撃のあまり思わず、握っていた雅紀の手を、俺は離してしまった。
「しょーちゃんって、面白いじゃん」
「………え?」
「顔はカッコいいのに面白い。待ち時間とか全然気にならないぐらいしょーちゃんと居ると楽しいし、楽しいからもっと一緒に居たくて仕事が捗る。しょーちゃんが居るから仕事も仕事じゃないこともあれこれやりたいってどんどん色々思いつくし、しょーちゃんが困ってると一緒に楽しめないから、しょーちゃんが困らないようにしたい」
「………え?」
「キスもしたいしオレのぴーしたぴーをぴーして欲しいし、最終的にはもちろんぴーまでしたい。さすがに赤ちゃんは産めないからそこは残念だけど、オレが一緒に居たいからしょーちゃん居てよって思うし、仕事も一緒にしたいからしようよって思う」
「………雅紀」
「そう思ってるのを、オレは何て言うのか知らない。けど、その辺に転がってるような恋愛感情って言っちゃうのは、何か違う気がする。だから、分かんない」
え。
え?え?え?
ちょっと。
ちょっと待って。
お願いだからちょっと待って。
離した手が、今度は雅紀から握られる。
けど、ガンって、勢いよくブロックとかが脳天に直撃再びで、頭の中が真っ白。星どころかひよこがぴよぴよ状態。
「しょーちゃん、聞いてる?」
「きっ………聞いてる‼︎聞いてるけどっ………」
「けど?」
「理解が………」
「理解が?」
「………どどどどどどうしよう。理解が、微塵も追いつかない」
今俺。
多分だけどめちゃくちゃ好きって言われたよね?
何かもういっそ病めるときも健やかなるときもぐらい言われた、よね?
最終的にはぴーまでって、つまり雅紀は俺と最終的なことまでするつもりでいるってことだよね?
赤ちゃんって言葉まで出たよね?
ていうか放送禁止用語が炸裂しまくってたけど、聞き間違い………なわけないわな。どうやったって聞き間違えないわ。あれは。お天使のお口から猥語盛りだくさんて。
え?
………え?
何か俺、めちゃくちゃ愛されてない?
え。
もう一回言っていい?
俺、めちゃくちゃものすごく死ぬほど、このお天使に、雅紀に愛されてない?
めちゃくちゃものすごく死ぬほど愛されてるよね?ね?
え?
ダメだ。
やっぱり頭が、理解が追いついていかない。なのに顔がゆるむ。勝手に。
結局これって。これって………。
「そうだ。しょーちゃんって色々経験済みなんだよね?」
「………え?い、色々?えっと雅紀くん。その………色々、とは?」
「ぴーしたことあるんだよね?ってこと」
「………え、えええええ⁉︎………えっと………まあ、その………まあ………い、一応………」
「じゃあ、しょーちゃんが『する方』でいいからね」
「………え?」
「オレ分かんないから、そこはしょーちゃんにお任せする」
「あああああのっ………あの………お、俺も同性との経験は………」
「うん。それはこれから一緒に研究してけばいいし」
「けっ………けけけっ………」
「え、しょーちゃん、何?変な笑い方して。ちょっと気持ち悪いよ?」
いやいやいや。
いやいやいやいや。
俺は決して、笑っているわけではなくて。
研究って。
俺が『する方』って。
このお天使はまじでどこまで俺を。
「オレとしょーちゃんの認識にズレはないよ」
「………え」
「だからほら」
「あの」
「はい、しょーちゃん。オレのぴーしたぴーを今すぐどうにかして下さいっ。もうほんっと限界」
「………っ」
言いながら雅紀は。
言いながら雅紀は‼︎
俺の手からスッと手を離した瞬間。
それはそれはめちゃくちゃのめちゃにくちゃに男前に‼︎
すぽんすぽんと服を脱ぎ‼︎
あっという間に‼︎
もう本当にあっという間に‼︎
いつものお風呂並みに潔く、俺の目の前ですっぽんぽんにおなりになったのであった。
「ぶふっ………」
俺はそんな男前過ぎる雅紀に盛大に吹き出した。
そして。
「ここで?」
「もう1秒も待てないよ、オレ。爆発しちゃう」
ベッドに行かなくていいことを確認し、今すぐどうにかして欲しいという切なる願いを目と耳で確認したので。
いただきます。
心の中で手を合わせ、遠慮なく、まずは唇から頂きに参ったのであった。
まーくん‼︎(爆笑)ってなった方は米ください🌾