花 145 | 舞う葉と桜〜櫻葉・嵐綴り〜

舞う葉と桜〜櫻葉・嵐綴り〜

腐女子向けのお話ブログです。

横山さんに説明をしようと思ったのだが、雅紀にみんなが揃ってからでいいでしょと言われ、横山さんもせやなって言ってくれたため、待つことにした。風間さんと松本さんを。





大人にとって、22時という時間はこんな時間、と言うほど遅い時間ではない。





でもここは山で、3時間ほど前に3人ともここからそれぞれ帰宅して行ったのだ。


だから、呼び戻す形になってしまって申し訳ないなあと俺は思うわけで。





「ねぇ、きみちゃん。来るのすごい早かったけど、どこに居たの?」
「それは………言われへんな」
「何で?パパンとこ?」
「いや、ちゃう」
「違うの?だって5分ぐらいで来たじゃん」
「そうか?そんなことないやろ。もっとかかっとる」
「そんなことあるよ。5分ぐらいだったって。ね?しょーちゃん」
「え?あ、うん。それぐらいだった………かな」
「いやいや、そんなことあらへんて。もっとかかっとる。5分なんて気のせいや。気のせい」
「気のせいじゃないよ、全然。あ、そうだ、きみちゃん。オレいい加減きみちゃんち行きたいんだけど」
「は?何なん急に」
「急にじゃないよ。前から何回も何回も何回も何回も言ってるじゃん」
「だからな?うちはまーくんとこに比べたら全っ然、これっぽっちも大したとこやないから、来てもしゃあないて。おもんないて」
「それを決めるのはきみちゃんじゃなくてオレでしょ?」
「いやいやいや。オレでしょ?じゃないねん。オレでしょ?じゃ。そもそも何でまーくんそんなうち来たいねん」
「だって行ってみたいじゃん」
「来たって何もあらへんて」
「いいよ別に、何もなくて。っていうかさ、きみちゃんが変なんだよ?」
「何がやねん。普通やろ、普通」
「変だよ。何でそんなに隠すの?」
「何を?」
「うち」
「別に隠してへん」
「隠してるじゃん」
「隠してへんて」
「じゃあ住所だけでも教えてよ」
「じゃあじゃないやろ。何で住所教えなあかんねん」
「今度の誕生日プレゼント送るから」
「まだ先や」
「じゃあお歳暮」
「手渡しでええわ。毎日会うてるのに、何でわざわざ送る必要があんねん。経費無駄遣いすんなや」
「………分かった」
「何がや」
「誰かいるんでしょ」
「はあ?誰かって何や誰かって」
「奥さんとか彼女とか彼氏とか」
「ちょっと待て。奥さんと彼女はまあ分からんでもないけど、彼氏って何やねん。彼氏って」
「だって好きになる人が女の人とは限らないじゃん」
「何か………まーくんが言うと意味深やな」
「イミシン?」
「いーや、こっちの話」
「じゃあ、山のどこかに家建てたとか」
「何でやねん」
「実はうちの屋根裏に住んでる?」
「アホちゃうか」
「UFOで移動してるとか」
「しばくぞ」
「うーん、あとは何だろう」





えーと。





果てしなく続くこの会話に、俺はどうするのが一番いいのだろうか。





口は挟めないにしても、従兄弟同士の会話を、俺が聞いていてもいいのか。





ううんって悩んでいる間にも、会話がぽんぽんぽんぽんぽんぽんぽんぽん。





ますますどうしていいのか分からなくて、トイレにでも避難しようかと思ったときだった。





「櫻井さーん。コンビニのだけど、ロールケーキ買って来たんで食べませんかー?」
「あ、風間ぽん」
「遅かったな風間。っちゅうか何でロールケーキ?」
「え?櫻井さん、好きでしょ?ロールケーキ」
「そうなの?」
「え、そうなん?」
「あ、はい。好きです。ロールケーキ」





え、俺そんな表立ってロールケーキ好きなんて言ってないはずだけど。何で。





「コーヒーいれて来るので、待っててください」
「あ………ありがとうございます」
「何があったか分かりませんが、風間が来たからもう大丈夫です」
「………風間さん」
「後でゆっくり話を聞かせて下さいね」





ふふふふ。


はははは。





え。





公言していない好物のロールケーキを買って来てくれたことに感激していた俺であったが。





わーはーはーはー。





不気味な………いや、不思議な笑い声と共にキッチンに向かう風間さんを、俺は………俺たちは、黙って見送るしかできなかった。










2番目は風間ぽんでした。

風間ぽんが持ってきたコンビニのロールケーキは、私の大好きなロールケーキです。

もしかしてアレかな?って方は米ください(笑)