花 135 | 舞う葉と桜〜櫻葉・嵐綴り〜

舞う葉と桜〜櫻葉・嵐綴り〜

腐女子向けのお話ブログです。

「ぎゃーーーーー‼︎まーずーいーーーーー‼︎」
「当たり前だよ‼︎何で舐めたの⁉︎」
「だって拭くものないし‼︎」
「だからって舐めなくても‼︎」





血なんて舐めたらそりゃそうだよ‼︎まずいに決まってるって‼︎





予想もしなかった雅紀の行動に、わたわた。


雅紀も何故かわたわたわたわた。


でもまだ血は出ていて。





「あ、しょーちゃん、鼻水拭いたティッシュならあったよ」
「え」





拭くものを探してズボンのポケットに手を突っ込んでいたらしい雅紀が、くしゃっと丸めたティッシュを俺の前に出した。





え、鼻水拭いたティッシュ⁉︎ってなったけど、他の誰でもない雅紀のならまあいいかって、それをもらってほっぺたを押さえた。


雅紀は雅紀で口の中がまずーいって。





「俺のせいではあるんだけど、血なんか舐めるからだって。オレンジくんのオレンジで口直しする?」
「あ、そうする‼︎」





俺の提案に返事をするが早いか、雅紀はオレンジくんのすぐ側にあるコンテナから、オレンジくんが自分で収穫した実をもらうねってひとつ手に取って、力技で皮を剥き始めた。





種が多くて食べるのは難しくても、ちょっとかじって果汁を吸えば血の味は。


しかもオレンジくんは美味だ。





………って、何も考えずオレンジくんの実をすすめたけど。





ほっぺたを押さえながら、ちらっとオレンジくんを見た。





オレンジくんは、いつも通り、オレンジくん。





さっき、後ろから雅紀が呼んだ気がした。しょーちゃんって。


だから振り向いた。


そしたら何かがぶつかりそうで、咄嗟に避けた。


避けたつもりだった。





避けたつもりが避けきれず当たったのは、多分オレンジくんの枝。


それしか考えられない。





当たりどころが悪ければ………目だった。





もし、当たって流血する勢いの枝が目に当たっていたら。





ぞくり。





考えて、背中に冷たいものが走った。





明らかにあちこちに落ちているのが増えた葉っぱ。


ぶつかった枝。





しかも雅紀は俺の後ろじゃなくて、横からしょーちゃん?ってこっちに来た。


ってことは?





まさか。





ふと過ぎる『まさか』に、そんなわけって首を振る。





あり得ない。そんなことは。


オレンジくんは木だ。





自らの意思で動いたり、喋ったりなんてことは。





「しょーちゃん‼︎これ見て見て‼︎」
「………っ」





あり得ないまさかを考えていたら、テンション高く雅紀が俺を呼んで、俺はその声にびくってなった。





そんなわけない。


そんなことがあるわけ。





「これ‼︎このオレンジ‼︎いつものより種が少ない‼︎」
「え」





言いながら雅紀が皮を剥いたオレンジを持って来て、わけたひとつをべりっと割った。





「あ」





いつもならそこにびっしりある種が。





「本当だ‼︎種が少なくなってる‼︎」
「そうなんだよ、しょーちゃん‼︎」
「雅紀‼︎」
「しょーちゃん‼︎」
「雅紀ーーーーー‼︎」





やったーって俺は片手を、雅紀はオレンジを持ったまま両手を広げて、思わずハグした。





オレンジくんはオレンジの木だが普通のオレンジとは違う。


自分で自分の世話ができる………他に、実のなり方が普通とは違う。





オレンジくんは実を収穫して少しするとすぐにまた花を咲かせる。


それは普通のオレンジのサイクルより2倍から3倍の早さだ。





だから、単為結果の実験を始めてまだ間もないのに、こうして結果が。


とはいえ、予想よりだいぶ早くて驚いてはいるが。





普通のオレンジとは違うだけに、種を減らすにはどうするのがいいのかって、夜な夜な雅紀と議論した。


嬉しさにハグしたって許されるだろ。





ふたりで抱き合って右に左に揺れて、やったねーとかうまくいったねーとかひとしきり騒いで。





「ありがと、しょーちゃん」
「俺は何も。雅紀が頑張ったんだよ」





ちょっと落ち着いて、ハグしたままおでこをくっつけて、見つめ合う。





「ううん。こんなに早く結果が出せたのは、しょーちゃんが居てくれたからだよ」





ぶっふぉっ………。





おでこがくっついているから、雅紀が少し上目遣いで。


それがまた。


それがまた何とも‼︎





かわいいーーーーー‼︎お天使がお天使すぎてかわいいーーーーー‼︎かわいすぎる‼︎





「………しょーちゃん」





どきん。





おでこをくっつけたまま、雅紀が小さく甘く俺を呼んで、そして。





ちゅう。





雅紀からのまじチュが、俺の唇にチュウって乗った。









今日もこわいと思ったのに、イチャイチャかよ‼︎って思った方は米ください(笑)

今日はさすがに出勤がいつもより遅くていいので遅めのアップでお待たせしました。

寝ても寝ても寝れるし、寝ても寝ても眠いわ💤

本日仕事納め。頑張ります。


お話も本日で書き納めです✨

今年も1年、ありがとうございました。

読んでくれてありがとう✨米もありがとう✨

良いお年をお迎えください☀️

1日アップは………今のところ未定です💧

書けたら書く〜。