BORDER 補足的さと兄小話 1 | 舞う葉と桜〜櫻葉・嵐綴り〜

舞う葉と桜〜櫻葉・嵐綴り〜

腐女子向けのお話ブログです。

いつからか空を見上げることが多くなった。


気づいたら見上げてた。見上げてる。





見上げて、いいなあって。





何がいいなあなのか、最初は分かんなかった。


何がいいんだ?って考えても、いいなあって、そればっか。





でも、ある日突然思った。





ああ。


何もないからいいのか。


何もないとこに、おれは行きたいんだ。





おれの家は、陽の本家と近いとこにあって………場所もだけど、血として。近くて、陰を消す力は当たり前にあったし、親にもあってその仕事をしてる。


だからもう、普通におれも将来はそうなんだろうって、普通に、思ってた。息を吸うのと同じぐらいの普通さで。





小さい頃は、陰が見えるとか小さくても右手から火を放つことができるとかで褒められてたから、嬉しいのもあったんだろうな。





空を見上げるようになったのは、いつからなんだろう。分かんねぇな。






見上げる回数が増えるごとに、おかしいなって思うことも増えた。





火。


おれの右手にずっとある火が、変わっていく。





少しずつ。でも確実に。





それしかなくて、それだけだったから。どうしようって思った。


結構精神的なもので左右されたりするから、気のせいだって考えないようにした。そしてバレないようにもしてみた。





けど。





もうダメだな。





空。


何もないとこに行きてぇ。


何も考えずに居られるとこ。





イヤとか嫌いとかじゃなくて。もういい。


当たり前のここから一歩外に出てみたい。知らないから。知らねぇから。おれは。ここに居すぎて。





そしておれは、陽の仕事をやめた。