BORDER その後の大宮編 8 | 舞う葉と桜〜櫻葉・嵐綴り〜

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腐女子向けのお話ブログです。

「和………おわっ」





もうダメ。ダメダメ。ダメだよ。





ダメでしょ。だってずっと会いたかった。会いたくて堪らなかった。


その気持ちをずっと無視してた。抑え込んでた。だって。やっぱりやめようとか、迷惑とか、言われたら俺立ち直れないから。絶対。


そんなことになったら、負ってた翔ちゃんより負る自信があるよ。その自信しかないよ。





アンタだけなんだ。俺の心を奪ったのは。アンタなんだ。他なんか考えられないんだ。アンタしか。


気持ち悪いでしょ?気持ち悪いよね。自分でも引く。


でもそれが俺なんだ。俺、だから。





玄関から飛び出して、飛びついた。智さんに。思いっきり。首に腕回して、絡みつけて、もうどっか、ネジみたいなのが飛んでった。禁断症状だよね。禁智してたから、反動。リバウンド?もう何でもいい。補給。補充。ちょうだいよ。くれよ。アンタを。大野智を。





キス。





した。自分から。何も言わないまま。そのまま。思いっきりした。濃厚なやつ。


瞬間ふがって智さんが謎な声を漏らしたけど無視。





会いたかった。会いたかった。すごい、すんごい会いたかった。





んふふ。





智さんの呑気な笑い声が俺の口内に響く。それも無視。飲み込んで、続けた。どんだけぶりかのキスを。


からっからに干からびてた俺のどこかの何かがちょっとだけ満たされる。でもちょっとだけ。


ねぇこれ。これさ。全部を全部満たすにはどうしたらいいの。あの写真の翔ちゃんとお花さんみたいに幸せが溢れてる顔ができるようになるには、どこまでアンタでいっぱいにしたらいいの。





智さんは拒まなかった。逆。だからああって、実際にはんんっだけど、声が漏れた。


こういうの。して欲しかったんだよ。こんな風に、したかったんだよ。アンタに。アンタと。





俺の頭。髪の毛を撫でて、あのキレイな手が、だよ。撫でて、そのまま引き寄せられる。





濃厚さがぐっと増す。濃厚なのを返されて、仕掛けたキスを返されて、お互いだから増して増す。倍増、どころじゃない。プラス興奮で4倍?もっと。





貪るって、こんなのを言うんだね。きっと。





智さん。智さん。





合間合間に呼んで。んふふってまた笑われた。





好きだよ。もうダメだよ。





これっていつかもうちょっと落ち着く?この気持ち。いつまでも続くなんていやだよ。めんどくさい。引きまくりだって、自分で。まじで。





キス。





どれぐらいなんだろう。5分とか、もっと?


うちの玄関出たすぐのところで。見られたらやばいのに。親出てきたらとか。潤さん出てきたらとか。





でも。ダメ。やっぱダメ。





キスが、止められなかった。