Your Eyes 21 | 舞う葉と桜〜櫻葉・嵐綴り〜

舞う葉と桜〜櫻葉・嵐綴り〜

腐女子向けのお話ブログです。

A side



「考えたってぐるぐる回って、出口なんて見えなくなる。だったら考えるスキを与えなければいいんじゃないってさ」
「ま、ショック療法じゃないけど、ああやって迫られたらまーくんも何かしらの答えが出るかなって」
「まーは色々考えて自家中毒起こす割には、単純だからさ」
「そうそう」


何か。
微妙にヒドイことを言われているような気がするんだけど………。


ん?って考え込んだら、まあまあって、肩を叩かれた。


「喋れる?」
「ゆっくり、なら、いけそう」
「いいよ、ゆっくりで」


優しい笑みで言われて、コクコクと頷いた。


まだ、何かが。


喉の奥に引っ掛かっているような、そういう違和感は拭えない。


それでも。


「まーくん」
「ん?」
「何か喋って。撮って翔さんに送ろうよ」
「え?」
「おー、いいじゃんいいじゃん」
「恥ずかしい、よ」
「しょーちゃん大好き、とか」
「や、だ」
「心配、してるから、本当にさ」


それは、分かる。


分かる、けど。


「せめて名前ぐらい呼んでやったら?あの人アナタにしょーちゃんって呼ばれるの、絶対好きだよ」
「ああー、それ、分かる気がするわ」
「ほら、まーくん!!よーい、スタート!!」


え?え?
本当にやるの?


ピコンって、動画撮影スタートの音がして、思わずキョドる。


「えと、しょーちゃん」


何て、言えばいいんだろ。


しょーちゃん。
痛かったね。
辛かったね。


ごめんね、また、心配かけちゃって。


「しょーちゃん」


別れる?って聞かれて。
初めて気づいたよ。


何をどう考えたって。
もう、離れたくない。


それが、答えだって。


「しょーちゃん」


二人が、しょーちゃんしか言わないオレを、笑い始めた。


「しょーちゃん」


その声に、オレも笑えてきて。


「しょーちゃん、大好き、だーー!!」


大きな笑い声が、病室に響き渡った。