Your Eyes 18 | 舞う葉と桜〜櫻葉・嵐綴り〜

舞う葉と桜〜櫻葉・嵐綴り〜

腐女子向けのお話ブログです。

A side



堕ちた。


真っ黒な、無数の手に、引き摺り込まれて。


オレは確かに。


そこに、堕ちた。





誰かが泣いてる。
誰かが、泣いてるような気がする。


オレを呼んで。
泣いて、いる。


誰?
誰が泣いてる?


どこ居るの?


ねぇ。
しょー…………





「相葉さん。相葉さん?」
「…………?」


夢?


「大丈夫ですか?」


マネージャー?


「ここは病院です。わかりますか?」


病院?


頭が、すごくぼんやりしている。


起きようと思って動いたら、身体のあちこちが痛くて。
頭もガンガンして。


オレは、起き上がるのを諦めた。


「すみません。うなされていたので声をかけてしまいました。ちょっと待っていてください。皆さん今隣の病室に居るので、呼んできます」


マネージャーが立ち上がる。


皆さん?
居る?


何だろう。


ここは病院で。
何でだか、ここに寝かされていて。


何だろう。
何か、忘れている。


苦しかった。
息が吸えなくて。
うまく吸えなくて。


苦しくて。


「雅紀!!」


しょー、ちゃん。


「……………っ」


しょーちゃんが。
すごい勢いで、すごい心配そうに、走ってきて。





思い出す。





「あ……………」





オレは、両手を、見つめた。





「雅紀?」
「相葉さん!?」





手が。





そうだ。


堕ちた。
オレは、堕ちて。


触るなって。


汚いって。


許されないって。





手、が。





嫌だ。
何、これ。
どうして?
何で?





「あ…………」





汚い。
汚い。


触るな。
触るんじゃない。


繰り返し聞こえる、冷たい言葉。





待って。
違うよ。
どうして?
オレ、何かした?


手が。
オレの手が。


「ま、さき?」


苦しい。
息ができない。


待って。
嫌だよ。
こわいよ。
助けて。


しょーちゃん。


「あ……………」


声、が。


声が、出ない。


しょーちゃん。


呼びたいのに。


苦しい。
息ができない。
声が出ない。


何で?
何で?


しょーちゃんを、見る。


みんなも、居る。


何か、言ってる。





苦しい。


堕ちたから?


堕ちたから、なの?





教えて。


オレは。


何で。


オレの手は。





しょーちゃん。
教えて。


何で。





オレの手が。












真っ黒だよ…………