◆アナザーストーリーズ バンクシーとは何者か 〜覆面アーティストの心のうち〜 | ザ・外食記録 ~今日も閲覧ありがとう~

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2023年12月に外食記事 4000号を達成しました。
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▼写真AC:ACworksさん提供のフリー素材


イギリスの西部の港町ブリストル。
壁に描かれた絵を見るため多くの観光客がこの地を訪れている。
人々のお目当ては、謎の覆面アーチスト・バンクシー。

ある時は厳重な警備が引かれた美術館に入り無断で作品を展示、またある時は危険地帯に赴き、メッセージ性の強い作品を描いていく。
世界各地にアートを残すものの、その正体はわかっていない。

その男が起こした最大の事件は、高額で落着された自身の作品を衆人監視の中切り刻んだシュレッダー事件。
事件について真意を明かしていないバンクシー。
男は一体、何を企み、何を訴えようとしたのか。

2018年10月5日、現場となったのは老舗のオークションハウス:サザビーズ。
競売にかけられていた作品の落着が決まったその瞬間、額縁に仕組まれていたシュレッダーが作動し、絵画の下半分までが切り刻まれていきました。
アーティスト自身が自らの作品を破壊するという前代未聞の行為は世界中に大きな衝撃を与えました。
今や世界的はアーティストとなった、バンクシー。
なぜこれほど注目を集めるのでしょうか。

視点1 2人で起こしたアート革命

1997年から12年間マネージャーを務めた、スティーブ・ラザリデス
出会った当初、まだ無名だったバンクシーの作品に一瞬で心を奪われたと言います。
マネージャーとして長年その活動を支えてきた人物。
「彼は昔、ロビンバンクスという名前で活動していた」
無名だったバンクシーを、世界で知らしめることに一役買ったラザリデス。
型破りなその男に、日々振り回されていたという。
バンクシーが生まれ育った街。
この街には至る所に、グラフィティと呼ばれるスプレーアートが描かれている。

1980年以降イギリスでは、新自由主義の歪みが表面化、貧富の差が広がり、各地で暴動が起きていた。
とりわけその格差が激しかったブリストルでは、将来を悲観した若者たちが、街のあちこちに無断で落書き。
「グラフィティ」と称して、社会の不満を吐き出すようになった。
その中に、まだ10代だったバンクシーの姿もあった。
無名のバンクシーに目をつけた人物こそ、スティーブ・ラザリデスだった。
当時カメラマンとして、グラフィティを撮影していたラザリデスは、知人の紹介で若きバンクシーを知り合った。
「彼が書いたグラフィティは特別だったよ。見た瞬間恋に落ちた」
ラザリデスは、そのセンスとメッセージ性に強く惹かれたという。

特に彼の印象に残っている作品、ジュラルミンの盾を持った警官に、白いテディベアが火炎瓶を投げようとしている様子が描かれている。
1980年代から警察の高圧的な取り締まりにたびたび暴動を起こしてきたブリストル市民。
武装して民衆を鎮圧しようとする警察に対し、抗議の意図で描かれた作品にラザリデスは、感銘を受けたと言う。
「彼の作品にはインパクトがあった。私は自分のキャリアを中断して、彼のマネージメントをしたいと思ったんだ」
その才能に惚れ込んだラザリデスは、バンクシーがアート制作に専念できるように資金面をサポートした。

2人は活動拠点をロンドンに移した。
しかしそこは監視カメラがあり、違法な落書きは捕まりかねない。
2人が試行錯誤を重ね用いたのは、今やバンクシーのモチーフとなった手法・ステンシルだ。
複雑なメッセージでも一瞬で描くことができる。
長居できない場所でもサッとグラフィティを残すことができた。
事前に作った型紙にスプレーを拭きかければ作品が出来上がるステンシル。
監視の目をかいくぐり、ストリートに大量の作品を残す謎のアーティストの登場はロンドン中で話題を呼ぶ存在となっていた。

バンクシーを研究しているリチャード・ジョーンズは当時のアート界の反応をこう振り返った。
「当初バンクシーは、アートの世界ではまっとうな存在とは見られていませんでした。批評家たちは、彼の作品をアートと呼ぶか迷っていたのです」
そんな中バンクシーは驚くべき提案をラザリデスに持ちかけた。

イギリスを代表する美術館、テイトブリティンに潜入し、自身の作品を無許可で展示することだった。
ラザリデス「まるでこれから銀行強盗に入る気分だったね。前日に予行演習をして、問題がなかったので次の日に決行したよ」
著名な絵画が並ぶ中、バンクシーは勝手に作品を展示していった。
それはのどかな風景の前に警察の規制線が張られた不思議な絵画だった。
しかし訪れた人は不許可の作品だとは気付かなかった。
「自分の絵と有名な絵のどこが違う?」
展示される場所で、アートを判断する人への痛烈な皮肉だった。
ジョーンズ「紛れもなく今のアート界への挑戦です。バンクシーは作品を通してアート界の権威に挑み続けています」

さらに翌年には、ロンドン自然史博物館へ。
来場者が行き交う中、バンクシーは堂々と作品を展示していった。
展示したのは、グラフィティアーティストの格好をしたドブネズミがメッセージを残している作品。
「俺たちの時代が来るだろう」
それは、グラフィティをいつまでも落書き扱いをするアート界への挑戦状だった。
ラザリデス「ネズミは虐げられているものの象徴だけど、どんな状況でも生き延びることができる、という意味でもあるんだ」

その後も大英博物館や、メトロポリタン美術館など、著名な場所で大胆不敵に作品を展示したバンクシー。
一方ラザリデスは、記録したその画像を世間に公開していった。
バンクシーの存在はますます注目を集め、アート界も無視できない存在へとなっていた。

2006年、アメリカで行われた展覧会では3日で3万人もの人が押し寄せた。
会場にはハリウッドスターらの著名人も現れ、作品を次々と購入していった。
展覧会以降、バンクシーの作品は高値がつき、転売されるようになっていった。
それにより、アーティストとして名声を得たバンクシー。
しかし作品が自分の手を離れ、値段ばかりに注目がいくということは、不満を抱いていたという。
バンクシーの想いはのちに世界を揺るがす大事件を引き起こすことになる。

第二の視点 シュレッダー事件の真相

事件に遭遇した記者:アニー・ショー
世界最古のオークションハウス・サザビーズ。
高価な美術館が日々競売にかけられていて、彼女は取材ため会場を訪れていた。
代表作の一つ『風船と少女』
赤いハートの風船に向かって手を伸ばす少女が描かれ、平和への願いが込められているという。
会場はいつも以上のにぎわいを見せていた。
2000年代後半から高額で落札されるようになっていたバンクシーの作品は、贋作が出回るほど人気が高く、自身の預かり知らないところで金儲けする人たちが後をたたなかった。
ショー「アート市場は、もはや投資です。そんなところでバンクシーは愛情半ばする感情を抱いていたと思います。憎しみの方が強いでしょうかね」
そこでバンクシーは作品の真贋認定や販売管理をおこなう機関をオンラインで立ち上げ、つけた名前は害虫駆除を意味する「ペストコントロール」
アートを金儲けの道具と捉えるものたちを害虫に例え、揶揄したものだと言われている。
さらに金に糸目をつけないものたちに皮肉たっぷりの作品で抵抗を示した。
『風船-』も、『愛はごみ箱の中に』へと改められました。
マーケットはバンクシーの手に負えなくなっていた。

そんな入札金額は瞬く間に上がっていって。100万ポンドに上がっていった。
付いた値段は1億3000万円。
高値で落札された作品が下半分まで切り刻まれいった。
場内は大混乱になった。
バンクシーの作品はひとまず関係者の手で運び出された。
出品前にサザビーズはペストコントロールに連絡を取り、額縁を外してもいいかと確認したが「いや、作品の一部だから」と拒否されたそうです。
シュレッダーは用意周到に準備したものだった。

この出来事は世界中に衝撃を与えた。目論見は見事に成功したかに思われたが、3年後に切り刻まれたまま出品された。
バンクシーの意思とは関係なく。
再びオークションにら最高額となり29億円の金額で落札された。
サザビーズは事態を好転させた。
これはバンクシーにとって、不本意な結末だったのかもしれない。 

第三の視点 バンクシーに励まされた人々

戦果が広がる危険地帯にバンクシーが自ら足を運んだ。
生きる勇気を与えるものだった。

2020年、ロックタウンとなったイギリス
病院に玩具箱から看護師の人形を取り出して遊ぶ子供の姿が描かれた。
「あなたたちこそがヒーローだ」そんなメッセージだった。

パレスチナでも、バンクシーは何度もこの地に足を運び、作品を残してきた。
平和の象徴である白い鳩が銃口を向けられた様子、戦禍の中のパレスチナの住民を鳩に例えた作品だと言われている。
王冠のレリーフの下に謝罪の言葉が記されている作品。
イスラエルとパレスチナの双方に国家樹立の約束をした祖国イギリスの責任を詫びるものだという。

この地で暮らすアルアベト親子など、逆境の立場の人々にとって心の拠り所となっていた。
20年以上も前、イスラエルによって分離壁が作られて、パレスチナの人々が困り果てた。
「壁はまるで牢獄のようだった」

アーティストのピュア・イーブルは、以前からあの地域のことを学んでいました。
彼の怒りはイスラエルの作った分離壁に向けられていた。
彼が描いたのは、風船を使って分離壁を乗り越えようとする少女。
「バンクシーは、世界の人々の目を向けようと思ったのです」

あえてバンクシーは見通しの悪い分離壁の脇に、ホテルを建設し、多くの観光客が訪れた。
親子はバンクシーのグッズを販売し、収入が増えた。

2023年、ロシアから軍事侵攻を受けたウクライナにもバンクシーの作品が現れた。
現地のジャーナリスト・ボクダン・マシャイはその知らせを聞いて作品を確認しに行った。
書かれていたのは、柔道着を着た男性が子どもに投げ飛ばされている様子。
柔道で黒帯の人物といえば、あの人物が思い浮かびます。
マシャイ「バンクシーは小さくても勝つことがあると伝えてくれるのです」

切手はウクライナの人たちに売り上げを与えた。「バンクシーが一緒に戦っていると知って大きな喜びです」

12月、ロンドンにバンクシーの最新作が発表された。
「STOP」の標識の上に、攻撃用ドローンと思われるモチーフを重ねたもの。
公式サイトでこのファイルをダウンロードしようとすると、ファイル名として「STOP WAR」というメッセージが現れる。
いまだにストリートにこだわる覆面アーティスト・バンクシー。

なぜ彼は人知れず世界各地に作品を残すのか。
彼があえて匿名であり続けることで、メッセージの代弁者になろうとしているという。
バンクシー、次は世界のどこに現れるのであろうか。

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今やニュースでも取り上げられるバンクシー。
アートに縁遠い僕にもそのニュースが伝わってきたとこから、一つの社会現象を生み出したと言えるのではないでしょうか。
ニュースでは、テロリストのように扱っていたので、この番組で反戦などのメッセージがあるかと知りました。


前回の「アナザーストーリーズ」の記事はこちら(2022年6月29日)
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http://ameblo.jp/miyacar/entry-12750433486.html

では、明日。