◆サッカー・森保一監督「強い組織を作る秘密に迫る」 | ザ・外食記録 ~今日も閲覧ありがとう~

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2023年12月に外食記事 4000号を達成しました。
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現在、「いいね」返しが出来ません。

NHK プロフェッショナル・仕事の流儀
Jリーグ制覇3度の名将の強い組織を作る秘密に迫る
今後期待されるサッカー選手を次々に育てている指揮官
その指揮官は気さくな性格、だがその朗らかさも試合となると一変する
誰よりも勝利にこだわる闘将と化す

プロサッカー監督・森保一
チームを率いて4年でJリーグ制覇3回、2015年クラブW杯3位に導いた
そのリーダー像は、やる気を引き出す男

リーダーの原点
日本サッカー界最大の悲劇・ドーハの悲劇、あのピッチに森保はいた
どん底から這い上がった時、本物のリーダーになれる

ぶれない信念が、勝利をつかむ

今年2月、サンフレッチェ広島はJリーグ開幕を控え、宮崎でキャンプをはっていた。
監督就任5年の森保
監督といえども、その立場にあぐらをかくことは決して無い
用具の運搬も手伝っている
「一番の大枠のコンセプトはみんなで頑張る、なので」
「監督というポストでやっていますけど、総キャプテンとか、キャプテンのちょっと上ぐらい」
プロサッカー監督の仕事、それは第一にシーズンを勝ち抜くため、戦術を練り選手起用を考えること
サンフレッチェは資金力にモノを言わせて他のチームから選手を集めることは出来ない。
そのため選手育成も森保の重要な仕事となっている
いかに勝てるチームを作るか、森保の考え方は極めてシンプルだ
サンフレッチェの戦い方の基本は、全員での粘り強い守備
前年はリーグ最少失点に抑えた
ボールを奪った後も全員で組織的に攻撃を行う
キーパーを含む11人で細かくパスを繋ぎ相手陣内に攻め込んでいく
森保は徹底して組織でのサッカーにこだわる

小学校時代から40年以上ボールを蹴り続けてきた森保
その中で培われてきた一つの信念がある
ミスは、みんなで修正する
「サッカーはおそらく球技の中で一番ミスの多いシポーツだと思うし、ミスが起こった時に
どうそのミスを取り返すためにみんなでカバーし合えるようにするか、やっていこうと伝えている。理想通りいくことの方が少ないので、それをどう修正しながら次に向かっていけるか、自分の中では大切にしている」

今年、チームに加入した外国人選手・ナイジェリア出身のピーター・ウタカ選手
独特のパスセンスと決定力から攻撃の要として期待されていた
だが森保は、ウタカの守備の意識がやや低いと感じていた
攻撃が終わったらすぐに切り替える、守備に戻るというチームの基本を繰り返し求めた
組織で戦うことを高めることに森保は一切妥協しない

2月下旬Jリーグ開幕、サンフレッチェはスタートダッシュにつまづいた
開幕からの3試合は勝ち星なしの1敗2分
森保が就任して以来、最も悪い出だしとなった
しかし森保にあせった様子は全く無かった
いつもと同じように次の試合への準備に集中する
目先の結果に一喜一憂しない、そんな森保の前向きな態度はチーム全体に良い影響を与えている

Jリーグ制覇3回を成し遂げた森保、その背景には年齢や過去の実績に関係なく練習で良いパフォーマンスをした選手が試合に起用されるという森保の原則がある
そのため練習は“お金が取れる”と評されるほど激しい
練習では緩みがちになる球際の攻防も実践さながらのぶつかり合い
だが、練習はこれで終わらない
午前の全体練習が終わって、午後3時に再び10名ほどの選手が走り始めた
通称“二部練”参加するのは、スタメンを狙う若手選手
シーズン中でも週に2日行われ、その質や量はリーグでもトップクラス
指導はコーチ陣が行うが、森保はよほどのことがない限り二部練を見続ける
若手にとっては「監督が見てくれている」絶好のアピールの場となる

誰を選ぶか
森保は選手の起用に最も神経をすり減らす
監督として忘れてはならない大切なことがある。“心”を預かる仕事

森保のサッカー人生は決して順風満帆なものではなかった
長崎で育った森保は、高校時代全国大会常連校の国見高校に何度も苦杯をなめた
実業団に入っても実力の差に愕然とした
スピード、技術、高さ、どれを取っても最低レベルだった
そんな森保だからこそ、試合に出られるのか、努力は評価されるのか、不安や迷いを抱く選手の気持ちがわかった

5月下旬に行われたアビスタ福岡戦
サンフレッチェの順位は18チーム中の8位、今ひとつ波に乗り切れていない
森保はこの日のスタメンに二部練に打ち込んできた選手(宮吉拓実)を初めて起用した
練習で果敢にゴールを狙う姿勢を高く評価した
試合は序盤から広島ペース
前半ウタカが先制点
さらに絶妙なパスに走りこんでゴールしたのは、宮吉
チャンスをモノにした
後半、ウタカのパスを宮吉がうまく合わせて、2点目のゴール
サンフレッチェは4-0と快勝した。

森保一のこだわり
23年間、ずっと同じ人に髪を切ってもらっている
いいと思ったらとことん貫く森保
人への接し方もぶれないこだわりがある

いつでもどこでも話しかける
必要と思えば、時と場所を選ばずに選手に話しかけると決めている
たとえどんなに雨が降っていても、ここだと思えば話しかける
「お互いしゃべっていることが心にすっと入っていくタイミングっていうのがあるので、機会を見て話すのは大切」
「ただ選手は傷ついているような状態で追い打ちをかける状況であれば、違うタイミングで」

話の切り出し方にも工夫がある・声をかけるときは“質問”から
森保は自分の意見を伝える前に、まず相手の考えを聞く・質問から入るようにしている

話の最後は、必ず笑顔で終わる
ポジティブなイメージで次に進んで行けるように働きかけている

6月上旬・チームの状態は上向きつつあった
順位は6位まで上昇、ここから波に乗りさらに上位を狙いたい
この日の練習後、一人グラウンドを走る選手がいた
柏好文、前の試合で初めてスタメンから外された
柏のポジションはサイドのミッドフィルダー
自陣深くからの守備から前線での攻撃参加までピッチを駆け回るのが仕事だ
2試合前のガンバ大阪戦、相手は柏が走りこむコースをしっかりと塞いできた
去年活躍した柏の走りを止める対策が講じられていて、途中交代を命じられた
誰もが常に厳しい状況に追い込まれるプロの世界、伝えたい信念があった
逆境でこそ、「自分の基本」に立ち返れ

森保自身が日本サッカー史上最大のどん底とも言える経験をしたからだ
1年前から代表に選ばれ、自分の役割に徹し泥臭く相手のボールを奪い続けた
2-1で日本リード、日本中が歓喜の瞬間を待っていた
終了間際のロスタイム、イラクのコーナーキック
あと一歩のところで夢は消え去った、あの日、心が折れた
でもサッカーは辞めきれなかった
そう思えたのは、結局は自分の生き方を貫くしかないと、割り切れたからだ。

森保は柏に声をかけた
柏は2年前に移籍してきた選手だ
そのスピードとスタミナに惚れた森保が直接交渉し獲得した
森保は柏に、自分の強みを思い起こすように伝えた
どんなにマークされてもしつこく走り続けろ

その1週間後、固いディフェンスで定評のあるFC東京戦
柏はスタメンでの出場だった
柏は前半から果敢に相手陣内に攻め込む
得意のドリブルで得点のチャンスを演出し、本来のアグレッシブな姿が復活していた
倒されても、柏の走りは衰えない
交代することなく90分間、距離にして12km以上を走り続けた
結果は1-1、勝点1をあげチームは5位につけた。

よく聞かれるそうだがストレスはない、胃の検査でもめちゃくちゃきれい
プレッシャーはあるが、ストレスではないと考えている

今シーズンは勝手が違った、相次ぐ離脱者
開幕から4ヶ月でのべ6人の故障者が発生、さらに4人を移籍で失うこととなった
相次ぐ離脱にチームの連携が乱れ、チーム最悪の事態
逆境で問われる指揮官の采配
6月中旬、サンフレッチェは5位だった。

強豪・浦和レッズとの対戦
5位のサンフレッチェとしては3位の浦和を倒し上位に食い込む足がかりとしたい
だが前半1-2のビハインド
そしてさらなる不測の事態、攻守の要・キャプテン青山が足の不調を訴え途中交代した
後半19分 ディフェンダーの塩谷がシュートを決め、その5分後再び塩谷が決め逆転に成功
だが試合後の森保の表情は硬かく、7月に不安が的中した
去年リーグ最少失点だった鉄壁のディフェンスに狂いが生じる
連携が乱れ、森保就任後最悪の3試合で9失点を喫した
そこさらなる危機的状況が待っていた
全試合にフル出場し全試合に貢献してきたディフェンダーの塩谷がオリンピック代表として一時離脱することになった。

チーム最大の逆境、森保は危機打開の秘策を用意していた
中盤のポジションの清水航平をディフェンスで使う
スピードやバネなどの身体能力の高さから、イケると読んだ
さらにチーム全体に対し森保はあることを訴えた。
相手にボールが渡ったら、すぐに守備に付いて粘り強く守れ
そしてボールを奪ったら、全員ですばやく攻撃に移れ
森保は苦しい今だからこそ、あの信念を伝えようとしていた。

「状況が悪くなった時に、いかに普段通りのことが出来るか」
7月30日、サンフレッチェは試金石となる大事な一線を迎えた
相手はガンバ大阪、去年優勝争いを繰り広げた強豪チームだ
2ヵ月前の試合では3点を取られ、敗北を喫した
負けた直後のロッカールームで森保は試合を振り返った
森保は、相手の価値への執念が優っていたと語った
「この悔しさ、絶対忘れないように」
勝ちへの執念で相手を上回り、チームの基本、粘り強い全員守備を貫き通せるか
森保の目標は失点ゼロ
前半はサンフレッチェのペースで進み
攻守を素早く切り替え、選手が連動しガンバのチャンスを粘り強く潰していく
ディフェンスに起用した清水耕平は持ち味のスピードを生かしチャンスを作った
前半は0-0で終えた
しかし後半7分、ガンバが先制
2人の選手に当たったボールが思わぬ動きをし、ガンバのシュートチャンスとなった
森保が動いた、ケガから復帰したばかりのキャプテン・青山を送り出した
ここが正念場

残り15分に攻撃の起爆剤・佐藤寿人を投入
攻めるサンフレッチェ、ガンバの攻撃には全員で走りゴールを守る
何度も何度も泥臭くボールを奪う
試合終了、勝利を得ることは出来なかったが、森保の表情は晴れやかだった
サンフレッチェらしい粘り強い守備、選手たちは最後まで貫いてくれた。

翌週、サンフレッチェにとっては特別な試合
71年前に原爆が投下されたこの日、初めてホームで試合を行う
2-0で勝利、最後まで皆で守り切った
現在チームは年間総合4位、森保は最後まで挑み続ける

プロフェッショナルとは、「逆境の時でも基本に忠実に地味にやり続けることが出来る人」


手倉森誠監督の記事はこちら(2016年7月17日)
↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓
http://ameblo.jp/miyacar/entry-12017090767.html

では、明日。