大きな大きな地震が起きて、家中の家具が踊り、私の上に落ちてきた。
同じ状況で、多くの人が亡くなった。
そんな中、私はかすり傷一つ負わなかった。私がこの場で命を落とさなかったのは、奇跡の一つだ。自分は自分の力と意志で生きているつもりだが、それでも「自分以外の意志で生かされている」部分があると、具体的に感じた瞬間だった。
そして割れたアスファルトから湧き出てくる茶色い水を汲むために、我々は2時間並び、人々はみな口々に語り合っていた「あのとき、たまたまこうしていたから生き延びた」と。その長蛇の列の横を死体がいくつも運ばれていくのを眼の端で見ながら。
体験していない者にいくら言っても信じてくれないが、人間、本当にいざっていうときには、氷のように冷静に客観的になるものだ。もちろん、それが必要ならば、だろうけど。だからこんな災害の時、誰々だったらパニックを起こして大変なことになるなんて心配は無用だ。なるようになる、人は自分の役割を演じきれる。