映画/『知りすぎていた男』 | みやのすけの映画倉庫/『ゴジラVSコング』への道
1956年
アメリカ
監督:アルフレッド・ヒッチコック
出演:ジェームズ・スチュアート、ドリス・デイ

モロッコのマラケシュを観光で訪れた家族が、国際的謀略に巻き込まれ、一人息子を誘拐される。

ヒッチコック英国時代の代表作「暗殺者の家」のリメイク。

まずタイトルバックにシンバルのアップ。
ヒッチコック作品では、タイトルバックに物語で重要な役割を果たす事物が描かれることがままある。

この時期のヒッチコックは、海外ロケと大スターを組み合わせた華やかなものが多く、本作ではモロッコのマラケシュでのロケがエキゾチックで面白い。
そこから一気にロンドンへ。
陽光から曇天へ、物語の展開に合わせたロケーションが物語にダイナミズムを与えている。

そしてロイヤルアルバートホールでの暗殺劇。
ここでのせり上がるようなサスペンスは凄い。
ちなみに、ちゃんと看板に「バーナード・ハーマン指揮」と書いてあるのが可笑しいのだが、これは劇場で観たときには気付かなかった。
で、実際にロンドンフィルを指揮しているのもハーマンで、三カットほどアップがある。
ところでここで演奏している曲は既成のクラシックなのか、ハーマンのオリジナルなのか、どなたか知ってる方、いらしたらご教示下さい。
いずれにせよ、ホールに客を入れ、混声合唱入りのフルオーケストラに演奏させる。
何とも贅沢な趣向です。

物語は更にもう一押しあって、某国大使館(子供が監禁されている)での救出劇。
ここで、妻が元舞台女優という設定が生きる。
好みの「クール・ビューティー」ではなく、「歌える」ドリス・デイを起用したのはここで「ケ・セラ・セラ」を歌わせるためだ。

ラストの粋な可笑しさも最高。

名作です!

来月BSプレミアムで放映されるので、未見の方はぜひ!


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