突然入院日記⑭ | みやのすけの映画倉庫/『ゴジラVSコング』への道
9/16、早朝隣人の「アリア」で目覚める。この時間のは声も大きく、滑舌もはっきりしているのでじっくり聞くと誰かの49日の法要の時、親戚に軽んじられたことを怒っているようだ。
いわゆる「思い出し怒り」というやつだが、それらを面と向かって言う勇気はないからここで言っているのだろう。
入院すると、肉体的にも精神的にも自分と向き合わざるを得ない。
これまで目を背けていた諸々がはっきりと現れたのかもしれない。

私は退院も決まったし、もう身の回りのことは自分でできるので気楽だ。もってきた本が終わってしまったので、病院のロビーから城山三郎「粗にして野だが卑ではない」を借りて読む。
1963年から7年間、国鉄総裁を勤めた石田禮助という人物を活写するノンフィクション。
サラッと読める本だが、その人物の破格ぶりが痛快。
城山三郎にはハズレがない。
昨日から日をまたいでアッサリ読了したので、続けてロビーから三上延「ビブリア古書堂の事件帖」を拝借。

例によって主治医が突然現れる。
退院後のことをいろいろ訊きたかったのだが、この人は早口でなかなか質問がしにくい。
とりあえず、力を使わない仕事であればいつでも復帰して良いとのこと。
退院したら酒飲んでもいいかという肝心のこと(?)を聞き忘れる(後で、転ぶほどバカ飲みしなければいいと言われた)。

9時半からリハビリ。
自転車こぎ昨日より若干早いペースで15分、手こぎ昨日より負荷かけて15分、汗だくになるが問題なし。

隣人にも退院の話が来た。
手術も終わったし、歩けるようになってブラブラしている、しかもリハビリを拒否(「あんなの意味ないよ」だってさ)しているのだから当然なのだが、本人はもう少し居たい様子。
治ったって福祉施設に戻るだけだが、病院のベッドは常に満床なのだから仕方ない。
この自己中ぶり。
入院中誰一人見舞いに来ないのも当然か。

昼飯(今日のデザートは桃カンだった)食ってからレントゲン。
もう自分の足で行ける。
売店でヨーグルト買って帰る。

昼すぎに後輩の保険屋K来る。
頼まれて入った入院保険だったが、本当に助かった。
情けは人のためならず、とはこういうことか(微妙に違う)。

隣人、今日は極めて静かなり。
病院に注意されたか、怒り疲れたか、明日退院させられるのが不安なのか。
いずれにせよ、静かな夜を送れるのは悪くない。

FMでベートーベン「英雄」聴きながら眠る。