読者からのご質問:スマートオブジェクトをラスタライズするメリット・デメリットとは?
テーマ:◆読者からのご質問みなさんこんにちは。
アドビ認定インストラクター・まきのゆみです。
毎日とっても暑いですが、
みなさんいかがお過ごしでしょうか?
甲子園が盛り上がっていますね。
私は高校野球が好きなので、
毎年、夏の楽しみの一つとなっています
さて、本日2つ目の
読者からのご質問回答になります。
Photoshop しっかり入門の読者の方より、
以下のようなご質問がありましたので、
回答したいと思います。
このたびは、「Photoshopしっかり入門」をご購入頂き、
誠にありがとうございました。
Lesson5-5
スマートオブジェクトの活用
P130の手順03について
“コピーしたオブジェクトも自動更新されます”
と記載がありますが、
コピーした物は置き換えたくない、
個別で選ぶ機能・やり方はないのでしょうか?
P129の手順04について
“通常のレイヤーだと変形した場合、画像が劣化する”
という事についてです。
スマートオブジェクトから
通常レイヤーに戻す(ラスタライズ)方法がありますが、
画像を変形する時にスマートオブジェクトに変換し、
その後、直接編集したくなったらラスタライズ。
そしてまた変形したくなったら
スマートオブジェクトに変換。
これを繰り返せば、画像の劣化は防げる、
という解釈でよろしいのでしょうか?
ご質問ありがとうございます。
まずつ目のご質問について。
P130(Lesson5-5)では、
「スマートオブジェクト」の機能を使って、
コンテンツを置き換え後、
コピーしたオブジェクトも一括更新する
作業をしています。
先に結論をお伝えすると、
コピーオブジェクトに
変更結果を適用したくない場合、
コピーしたスマートオブジェクトをラスタライズして、
元のスマートオブジェクトと
同じコンテンツ(内容)であるという
関連性を解除することで、
変更結果の影響を受けなくなります。
それでは検証してみましょう。
<例>
「さくらんぼ」レイヤーはスマートオブジェクトであり
「さくらんぼのコピー」レイヤーは、そのコピーである
この状態で、
「さくらんぼのコピー」レイヤーを選択し、
[レイヤー]→[スマートオブジェクト]→[コンテンツを置き換え]
を選択します。
ここでは、いちごのコンテンツに置き換えます。
「さくらんぼ」レイヤーも
「さくらんぼのコピー」レイヤーも
いちごのコンテンツに置き換わりました。
コピー元である「さくらんぼ」レイヤーと
コピーである「さくらんぼのコピー」レイヤーは
同じコンテンツ(内容)であると認識されているため、
いずれかを変更すると、
片方も変更されるわけです。
それでは、コピーしたスマートオブジェクトには
変更結果が反映されないよう、
ラスタライズしてから
同様の操作をしてみましょう。
ラスタライズとは、
通常の画像レイヤーに変換することです。
つまり、スマートオブジェクトではなくなります。
「さくらんぼのコピー」レイヤーを選択し、
[レイヤー]→[スマートオブジェクト]→[ラスタライズ]
を選択します。
ラスタライズしたレイヤーは、
スマートオブジェクトを表すマーク
がなくなります。
これで通常の画像レイヤーになりました。
この状態で、
「さくらんぼ」レイヤーを選択し、
[レイヤー]→[スマートオブジェクト]→[コンテンツを置き換え]
を選択します。
いちごのコンテンツに置き換えます。
ラスタライズした「さくらんぼのコピー」レイヤーには
影響がありません。
このように、
コピーオブジェクトに
変更結果を適用したくない場合、
コピーしたスマートオブジェクトをラスタライズして、
元のスマートオブジェクトと
同じコンテンツ(内容)であるという
関連性を解除することで、
変更結果の影響を受けなくなります。
続いて、つ目のご質問についてです。
大まかにいうとおっしゃる通りですが、
スマートオブジェクト→ラスタライズ→スマートオブジェクト
・・・
と工程を繰り返すのは、若干効率がよろしくないので、
[ブラシ]ツールなどで直接編集する作業があれば、
先にまとめて済ませ、
その後にスマートオブジェクトに変換して、
サイズ変更等の調整をする
というように、必要な作業をまとめて行えば、
変換作業を何度もしなくて良いので効率的かと思います。
ただ、スマートオブジェクトは、
元情報を保持する特殊なレイヤーではありますが、
ラスタライズすると、
それまでの変形等の情報は一旦確定してしまうため、
次にスマートオブジェクトに変換した際、
前回スマートオブジェクト時に残っていた情報は
なくなっているので、ご注意下さい。
<例>
・スマートオブジェクトに変換→80%縮小
スマートオブジェクトである間は、
元画像100%以内であれば、変形を繰り返しても劣化しません。
・ラスタライズする→表示は100%からスタート
前回行った80%縮小の情報はなくなります。
まとめ
スマートオブジェクトをラスタライズするメリット
・[ブラシ]ツールなどで画像を直接編集することができる
・コピー元のスマートオブジェクトと
同じコンテンツ(内容)であるという関連性を解除できる
スマートオブジェクトをラスタライズするデメリット
・変形等の情報を保持できない
・コピー元のスマートオブジェクトと
同じコンテンツ(内容)ではないと認識されるため、
一括変更等の作業ができなくなる
ぜひお試し下さい。
こちらの回答で問題が解決できますと幸いです。
また、本書がPhotoshopの学習において
お役に立ちますと嬉しいです。
今後ともどうぞ宜しくお願い致します。