癌専門の医療センターの若い医師と、癌治療の甲斐なく末期に進行しもう治療する方法がないと余命宣告された患者、の個々の立場を描いた小説でした。

 

末期癌の母を看ながら感じていたことが、まさに小説として描かれていました。

 

私は癌治療に関係する本をいろいろ読んでいたから、今の標準治療と呼ばれるものが一部のケースを除いて治療効果があるどころか、痛みや苦しみを増やしていることがほとんどだと考えていたので、母にはできるだけそういった治療を少なくしてもらいたかったものでした。

 

しかし当の母はこの小説の男性患者と同じく、最後まで治療を諦めきれませんでした。

治療を断念することは、自分が死ぬことを受け入れること。

死期が早まっても、どんな苦しみにも耐えるから治療を続けたい・・・一縷の望みに縋りたいと、緩和ケアに入るまで戦い続けたのでした。

 

母は64歳で大腸癌ステージ3の手術をしてのち、8年後に肝臓に転移が見つかり、それから8年間に5回も手術をしました。

高齢女性としては驚異的な体力だったと思います。

術後、医師の言う「根治」(今あるがん細胞は全て体外へ取り去ったと言う意味)を、完治と信じて喜ぶのも束の間、半年後〜1年後に転移しました。

その繰り返しでした。

2度目の転移では、手術をしても2年生存率20%と厳しい数字を言われても、自分が80%の方に入るとは考えることがありませんでした。

 

私は再発転移後の手術は、かえって転移の速度を増すだけだからとずっと反対し続けましたが、母は医師からこれ以上の手術はできないと言われるまで、医師の薦めるがまま手術を受けました。

妹も受けさせたがりました。

臓器の切除をすれば必ず後遺症は残り投薬が増えて、それに伴い副作用も多くなり、臓器を失った分体の機能は衰え、がんが増殖しやすくなるのに。

(若い人で最初の手術だけは延命の効果は高いかもしれないけれど)

 

幸い抗がん剤については、妹も良い印象を持っていなかったため一緒に説得してくれて思いとどまってくれました。

もし妹が抗がん剤の効果に疑問を持っていなかったら、数ヶ月の延命効果しかないと説明されても、母は辛い副作用に耐えれば、ひょっとしたら癌が増殖する体質が変わり二度と癌細胞が生まれなくなるのではないかとの期待に縋り抗がん剤治療を望んだことでしょう。

 

母の気持ちがわかればわかるほど、本人が得心するならと、自分の思いは押し殺して、母の手術に最終的に同意し続けましたが、私にとってはCS症状とともに精神的に辛い日々でした。

無駄とわかっていて苦しい治療を受け続ける姿をみるのは、心身ともにしんどかった。

 

母に実際に癌になってみないと、余命の宣告をされてみないと、私の気持ちはわからないと言われると反論のしようもありませんでした。

将来子宮頸がんになるかもしれない異質細胞があるからと子宮摘出手術を受けた妹の言葉の方を、母は信じたがりました。

 

自分の体内に一つでもがん細胞があるとがん細胞が急速に増殖するイメージに襲われ、その恐怖から最後まで逃れることができなかったようです。

 

そのイメージを植え付けたのは、最初の主治医であり、マスコミであったと思います。

この小説の男性患者のように、セカンドオピニオンを求めたり、新しい手術法を求めたりして、病院をいくつか変わりましたが、母の状態は良くなることはなく、術後転移が発覚するとすぐに余命宣告をされました。

あまりに簡単に人の余命を口にする医師に腹立ちをこえて哀れみさえ感じるようになっていきました。

西洋医療のエビデンスという名のまやかしに反論する術を持てない自分への苛立ち、患者家族としてなんとも表現しようのない気持ちを募らせていた日々でした。

 

治療法のない死の病にかかった患者にとって良い医師とは?と問いかける一冊

全ての人が癌になる前に読んでおくと良い本かもしれないですね

日本の医療の現実がわかっていると、生き方を変えることができると思う

 

 

送ってくれた友達に感謝

 

 

西洋医療についてルーツを知ると面白い

エビデンスなんてないよ、今も、ただの数字的まやかし、金儲けがほとんど。

私はそう思う