木曜日の午後三時という時間帯で、嵐の予報がでていたということもあって広尾駅周辺は人も少なく、このまま帰宅するのならウィンドーショッピングに余分に歩いてみるのも楽しそうでした。ですが、その後に大切な予定があったので、再び二重にマスクを装着して地下へ降りていきました。

日比谷線に乗って東銀座に向かいました。

予約していたのは、少し前に化学物質過敏症のかたのブログで、無事に宿泊できたとの記事を読ませていただいて興味をもっていた旅館でした。今回上京するにあたっては、そのほかにもっと良さそうな宿泊先はないか、関東に住む友人に問い合わせたりもしてみました。初診のときに宿泊したホテルは、空気清浄器をセットしてもらったものの窓を開けることができず、カーペットクリーナーやその他の臭いが辛かったという記憶が未だに残っていまして、とても宿泊する気にはなれなかったのです。
そうしましたら、その友人が偶然にも数ヶ月前に新聞に掲載された銀座のその旅館の記事を読んでいて、mix-hanabiが泊まれる宿は、たぶん、ここしかないだろうなと思ったよ、と言ってくれたのです。
別の化学物質過敏症の患者さんの、苦しくてダメだったという感想も間接的にきいたりもしていましたから、多少の不安はありましたが(そのとき、そのかたが別の宿泊施設に移られたかどうかまでは確認しませんでしたが)この宿に泊まってみることに決めました。

そのことがきっかけになり、彼女を含め大学の友人達と約20年ぶりの再会の話がもちあがったのですけれども、その小さな同窓会のことは、もう少しあとに詳しく書こうと思います。

さて、旅館の中の様子ですが、ホームページをみたり、事前に旅館の女将さんに電話で問い合わせて確認したりしたところ、内装と食事については私は問題なく宿泊できるだろうと予想しました。珪藻土の壁、無農薬の畳、オーガニックコットンの布団、竹をはじめとする無垢板の床や建具、洗剤は石鹸のみ、特に私が宿泊した階は清掃には箒と水拭きのみということで、特別な配慮をしているとのことでした。化学物質過敏症のかたが長期滞在されることもあるとのことで、食事も、無農薬の野菜が中心で、天然の魚介類に、調味料は全て無添加のものを使っているということでした。

マスクをはずして旅館内に入りました。一階の受付は、全く問題ありませんでした。従業員の方も香りの強いものは使っておられず、安心できました。チェックインを済ませエレベーターで客室に案内されたのですが、エレベーターを下りてから、少し臭いが気になりました。自宅とその周辺では嗅いだことのない臭いです。幸いその臭いによって、すぐさま具合が悪くなるというようなものではありませんでしたが、気になる臭いでした。それは、木材単独でもなければ、珪藻土単独の臭いでもありません。(私の自宅は珪藻土も杉、檜、松など使っておりますから)旅館と言っても、建物の躯体は鉄筋コンクリートですので、その臭いかもしれませんし、空調がぐるぐる巡ってでてくる臭いかもしれません。また、エコロジーに配慮した旅館とはいえ、宿泊される方が皆さんエコロジーに関心が深いわけではありませんから、お客様のつかわれる合成洗剤や香料が少しずつ蓄積されたものかもしれません。入室してすぐ部屋の換気扇のスイッチを入れ、窓を少し空かしておくことにしました。そうしておけば、楽に過ごせる空間でした。

さて、その臭いのことについてですが、ひょっとしたら他のホテルなどでもあるものかもしれません。ただ、他のところですと清掃に使う合成洗剤や、建材、家具、その他の強烈な臭いに紛れてしまいわからなくなってしまう類いのものではないかと考えることにしました。ここは、他に臭うものが少ないために、気になるのだろうと結論づけました。この旅館がダメだった方は、この臭いが苦しかったのかもしれませんね。でも、その前に、珪藻土がダメな方、無垢の木材に反応してしまう方も、この旅館には宿泊できません。患者さんによって体調悪化を招く物質はそれぞれ違いますから、むしろホテルのほうが、うんと楽な方もいらっしゃると思います。私の場合は、この旅館は、内装が自分にとって安心できるものばかりですから、万が一体調が悪化しても、その原因物質について室内のものに疑心暗鬼にならないで済むということが、一番ありがたいことでした。クリーンルームみたいな宿泊施設なんて、今のところ日本中どこを探してもありませんものね。

・・・・北里研究所病院から徒歩で30分以内のビルの一室で構わないから、病院のクリーンルームに近い内装、空気清浄器を装備したレンタルルームがあったら、嬉しいよねー・・・

お風呂は共同浴室ですが、予約なしの貸し切りで一人きりではいれました。セットされているのは太陽油脂のパックスナチュロンのシャンプーリンスとボディーシャンプーでした。安全な香料入りですが、少々苦手なのですけれども、換気がよくきいていて気になりませんでした。もちろん、私は持参した石鹸を使いました。

食事も、何の問題もなく美味しくいただくことができました。

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宿泊した旅館名を、ここに書いても問題ないと思うのですが、率直な感想を書きたかったので、今回は名前を伏せることにしておきます。(もしもこれを読まれて、北里研究所病院受診に際し宿泊してみたいと思われる方は、当ブログのサイドバーにあるプロフィール下の<私へのお便りは、こちら>というところからメールをください。)


=さらに、つづく=