荷物をできるだけコンパクトにまとめようと思うのに、念のためにあれを入れとこう、なんて考え始めるとどんどん増えてしまう。なにせ、持っていき忘れたからといって、現地で買ってすぐ使えるものなんて皆無に近いのだもの。前もって宿泊先に送ってしまうのも、一つの方法として考えながら、なんとか必要最小限の荷物を一人で長時間歩いても持ち運べる大きさと重さに収まめることができました。行きは、ある程度元気に歩け、帰りは少々くたびれてると仮定して、衣類などの一部は捨てて軽くして帰ることにしました。

お天気のことを、すっかり失念していました。前日の天気予報では、東京は雨、それも大荒れの天気になるということでした。自宅近辺は嵐は去っていて、その嵐が東へ移動していくのを追いかける形になったのでした。折りたたみ傘を持って、あまりに酷いどしゃ降りなら、地下鉄を乗り継ぐコースに変更することも考えながら出発しました。

飛行機は定時に出発しました。
ところが、座席のお隣のご婦人の香水が非常なほどに匂うという状態におかれました。マスクを二重にしていても、微かに匂ってくるほどの強烈さでした。着ている服への臭い移りを少なくできるかもしれないと、バッグに入れいていた大判のスカーフをだして上半身を覆いました。
お隣の座席のかたの臭いに耐えられない場合には、客室乗務員にお願いして座席を変えてもらうつもりで通路側の座席をとってあったのですが、あいにくの満席でかなわぬことになってしまいました。その苦しい状態を一時間以上も耐えなければならなくなりました。マスクをマメに交換しながら、なんとかクリアして、無事羽田に到着しました。

東京はまだ雨が降り始める前でした。なんとか病院にたどり着くまでもってくれたらいいなあ、と祈りながら京急線に乗り継ぎました。

=つづく=