転勤でいろんな所へ行かせていただきましたが
住んだことの無い地方へ行くのは楽しみでした
気候・風土・土地柄・食べ物・県民性等々
好奇心を刺激されます
その町についての予備知識などほとんどなく
荷物の引っ越しが終われば
”転勤休暇”などというものはなく、
翌日か翌々日にはもう新しい職場に出社して
ミーティング・打ち合わせ・会議の後は、挨拶回りです
重要な関係先は引継ぎ出張時に前任者と一緒に
挨拶回りは済んでいるものの
着任してからは部下と一緒に訪問するのですが
現地採用の部下も関係取引先の方々も
全員その土地の言葉をしゃべります
つまり方言です。
この言葉が、新鮮というか、聞きなれないというか
意味不明というか、分からん言葉が時折あります
富山に赴任したときの事です
着任してしばらくして仕事の打ち合わせというか
段取りの提案の為に関係先を訪問してお話させていただいたところ
『な、つかえんちゃ』と言われました
文字ですと雰囲気伝わりにくいですが
声に出して
『な、つかえんちゃ』って言ってみて下さい
≪否、使えない≫という意味かと早合点して
「え?どの部分がまずいですか?」
『な、な、つかえんちゃ』
「え?え?」
富山や高岡の方には怒られそうですが
実は
≪さしつかえないよ≫って感じの意味だと理解するのに
結構時間かかりました~
何処に転勤しても、しみついてしまっている自分自身の関西弁は
矯正できません、というか
もういいやと思っています
一口に関西弁と言っても
京都弁と河内弁、大阪の浪速の船場言葉など
同じ関西弁でひとくくりにはできないほど
全く違います
奈良に転勤した時に
やたらと二言目には
『そうでんがな』
『ちゃいまんがな』
って口癖で言う部下がいました。
≪でんがな、まんがな おじさん≫って、あだ名付けました
『これ、なおしといて』って、品物を渡されたら
どうします?
私の住む地方では
≪なおしといて≫は
〈治す・修理する〉 ではありません
〈片づけておいて〉
さて、
≪裸ですみません≫ってお金渡された
この情景、どう想像されましたか
全裸で、財布だけ握りしめた女の人が
財布からお金を取り出して支払った・・・
関西では、
≪裸でお金渡す≫ は、
≪身体が裸≫なのではなく、
≪お金が裸≫なのです
つまり、お金を熨斗袋にも入れずむき出しで・・・という意味です
神社の社頭で参拝の折にお守りやお札をお求めいただくときには
わざわざ祝儀袋に入れてお金を差し出す人はおりませんが
ご予約いただいた厄払いや初宮・七五三、或いは地鎮祭などの
御祈祷料を、むき出しで差し出す方は少ないです
熨斗袋に入れて渡すことがマナーと心得ておられる方なのですが
あいにくそののし袋を持ってくるのを忘れて
やむを得ず、
『裸のままですみません』という言葉と共に
お納めいただいたお金なのです
ところで
≪代金≫と≪料金≫の違い、ご存知ですか
辞書で調べてみますと
≪代金≫は、物・物品に対する対価
≪料金≫は、目に見えないサービス・役務に対する対価ということになります
八百屋さんで野菜を買うとそれは代金です
ホテルの宿泊代は料金です
日帰りバスツアーは代金ではなく料金です
ところが神社では少し様子が違ってきます
まず、
≪代金≫とも≪料金≫とも言いません
お守りや御札は≪初穂料≫
御祈祷料は≪玉串料≫と言いますし
『支払う』とも言いません
また、1000円の≪お守り≫に1万円札を差し出して
≪おつり≫とも言いません
例えばこうなります
『この、お守りはおいくらですか?』
『千円のお納めになります』
『すみません、細かいのが無くて・・・』
『それでは、1万円お預かりいたします。
九千円のお戻しになります。ようこそお参りでした。』
ご予約いただいた御祈祷に際しては
『玉串料』と表書きした熨斗袋を用意しましょう