衿合わせ・右前と男前・江戸前 | ミックスココアのひとりごと

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気ままに思いついたことを折々に

突然ですが

成人式で

着物を着られましたか


今年の夏

浴衣(ゆかた)を着られましたか


その時、

何故って思われませんでしたか


普段着ている洋服は

例えば男性のワイシャツは

こんな風に

左の衿が上になっていますが


女性のブラウスは

右衿が上になっています


ところが

着物の場合は

男性でも


女性でも


共に左の衿が上になっています


つまり

衿合わせは

洋服では男女 別なのに

着物では男女ともに左衿が上になるのです


そんなもんだと大して深く考えずに

気にもかけずにいたのですが

ふっと、

え?なんで?と、

一度、気になり出すともう気になって気になって…


その前に

この衿合わせですが

着ている本人が

自分から見て左側の衿が上になっている状態を

右前と言います


右の衿が手前になるのでそういうのでしょうか


右利きの人が

自分の懐に手を入れやすい状態のことです


さて

この衿合わせですが

古墳時代の埴輪や

600年頃までの彫像等には

右前・左前両方の衿合わせを見ることができますので、

特別な決まりはなかったようです。


ところが

719年 養老3年(奈良時代)の2月3日に

元正天皇により衣服令の詔勅が発せられます

「続日本紀」に「初めて天下(あめのした) 百姓をして

衿を右に令(せし)む」とあります。


以来、1300年足らずの長きにわたり

連綿として

右前の衿合わせが日本人のしきたりとして

守られてきているのですね


今度、着物を着る機会があれば

遠く1300年前の奈良時代を想像しながら

日本の文化の伝統の深さに

想いを巡らせてみてはいかがでしょうか


そうそう

タイトルに書きました

江戸前・男前は

右前とは直接関係ありませんが

ちょっと書いてみたかっただけです

(写真はネットのフリー素材から拝借しました)


付け足し

元正天皇が

なぜ右前の服飾令を出したのか

諸説ありますが

奈良時代に中国文化を積極的に取り入れており

右前も大陸の習わしに従ったとする説、

また、

陰陽説による「左=先」

「右=後」に、

着付ける側から従ったからとも言われているようです