言葉を大切にするということ | ミックスココアのひとりごと

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気ままに思いついたことを折々に

しきしまの やまとの国は 言霊(ことだま)の

さきわふ国ぞ まさきくありこそ


柿本人麻呂の歌ですが

古代、人々は言葉には霊力が宿っていると信じていました


言葉に宿る不思議な霊力が

言霊(ことだま)であり

その力が働いて言葉通りの事象がもたらされると信じたのです


この言霊信仰は、脈々と今も精神文化に受け継がれてきています


言霊の力によって幸せがもたらされるという意味では

美しい言葉が美しい人を作り

美しい国を造るといえるのかもしれません


良い言葉を発すると良いことが起こり

不吉な言葉を発すると

凶事が起こると考えましたから

ことさら言葉を大切にしてきました


受験生のいる家庭では

落ちるとか滑るとかという言葉を使わないようにしてますし

結婚式では、

壊れるとか切れるとかという言葉を祝辞で使いません


これらの忌み言葉は言霊の信仰に基づくものですし

神社の神職が奏上する祝詞(のりと)は

絶対に誤読をしてはならないのです


私が奉務しております神社には

電話番といいますか留守番といいますか

高齢(年齢不明)の女性がおられます


普段、社務所にかかってくる

お問い合わせや御祈祷のご予約の電話に

対応して下さっております


1週間ほど前に

社頭での改築安全祈願のご予約があったと承りました

ついては、

地鎮祭等の出張祭典ではありませんので

電話を受けたおばあさんに確認しましたところ

「改築」との事でしたので

その内容で新たに祝詞を作文・墨書して

さらには清め砂・清め塩を用意し

準備万端整えて御依頼者をお迎えしました。


御祈祷申込書にご住所お名前をご記入いただき

念のために御伺いいたしました。

改築のための安全祈願でよろしいのですね?』


『いいえ、1階の改装です。』


『…改築ではなく、改装でございますね?!』


『はい、そうです、部屋のリフォームです』


事前に準備していた祝詞の内容が違ってきます!!

改築のために取り壊し云々と作文してます

「取り壊し」という言葉を削除して

改築改装と置き換えて

祝詞の文章の文脈を整えて

願意に沿った祝詞に添削して・…


慌てて、急いで、落ち着いて~


削除・修正・添削・推敲・確認~

この間5分


『お待たせいたしました、

それではただいまより○○様家屋

改装工事安全祈願の御祈祷をご斎行申し上げます』


ま、そんなこんなで

滞りなくご斎行申し上げましたが

それにしても

言葉を大切にしなければならないお仕事ならこそ

細心の注意を以って祝詞を作文し

誤読の無いように

くれぐれも努めねばならないと

改めて肝に銘じた一日でした