ある中堅企業の社長さんから聞いた話です。
中堅企業といっても、
社員数400人程度のそこそこの企業です。
この企業に取引先の大手企業から
二人の人材をヘッドハンティングして
管理職に迎えたそうです。
販売一部・二部、それぞれの部長として。
Aさんは、理論派で頭の回転も速く
自己顕示欲も強いのですが
論理的で販売能力は前の会社でも
かなり高く評価されていました。
販売業務に積極的にかかわって
自分の能力を発揮しようと
部下の先頭に立って働きました。
一方Bさんは、温厚で
カミソリのような切れ味はありません。
どちらかというと、
柔軟に物事を考えていくタイプでした。
ですから、部下より経験が深い分野は
自分が責任をもってリードするのですが、
自分が経験不足のところは
部下の意見を求めて、
責任を持たせて事に当たらせ、
その結果だけを把握しました。
一年もすると
それぞれの部下の姿勢の違いが
はっきりしてきました。
Aさんの部下は、
リーダーであるAさんのカラーが強すぎて
自発的積極的な仕事がやりにくくなり
迷いが出たり萎縮したりして
結果的に仕事の能率が低下しました。
Bさんの部下は
仕事の指示がわかりやすく
責任の所在が明確で
また、責任をもって任せられるものですから
それに応えようと、
自発的に能動的にのびのびと
仕事に取り組むことができるようになりました。
二年後
Aさんは退職し
Bさんは役員に昇進しました。
目先の販売成績にこだわるのなら
強力な販売能力を持った管理職が
垂範率先して部下を手足のように動かせば
それなりの成果が上がるでしょう。
しかしそれでは部下は育たないかもしれません
リーダーに求められるのは
その部門の目標を達成することですが
それは部下のやる気を引き出してこそ
成し遂げられるべき目標です
部下のモチベーションを引き上げることによって
目標の達成と育成が同時に果されていくのです。