世間一般的に、いわゆる話し上手と言われる人は
ボキャブラリーが豊かで、立て板に水のように
スラスラしゃべるというタイプは、案外少ないものです。
むしろ、一見無口に見えて、
こちらが、どちらかといえば
一方的にまくし立てるようにしゃべる事を
よく聞いてくれる、聞き役のような印象があります。
ところが、会話が終わってみると、
いつの間にかその人のペースで
話が進んでいたという場合が多いようです。
実は、しゃべらされているのです。
つまり聞き上手なのです。
相手の話を引き出すのが上手な人は、
会話のツボをよく心得ているのです。
会話のツボとはすなわち、
相手に抵抗無く
自分の意思を受け入れさせることでもあるのです。
この場合に大事なことは、
しゃべりまくって相手を圧倒することでもなく、
難しい単語を並べ立てて説き伏せることでもありません。
相手の考え方を一から十まで全部吐き出させてしまい、
その中で、
一つ二つ自分の言いたいことと同じ部分を抜き取り、
その点に関して賛同の意思を伝えるのです。
その上で、異なる部分や矛盾する部分についてのみ、
こちらの意見を言うことです。
こういう会話の運び方をすると、
相手は、賛同された部分で気を良くしていますから、
説を異にするところは、
なんとなく妥協してしまうことになるのです。
相手を不愉快にさせてしまうような会話ではなく、
またあの人とおしゃべりがしたい、
そう思ってもらえるような
会話のツボを心得ていれば、
いたずらに敵を多く作ることもありません。
むしろ、自分の味方を
増やしていくことに繋がるのです。
自分の意見を100%理解してもらって
賛同してもらおうと思わないことが
かえって逆に、自分の意見を
受け入れてもらいやすくなるということです。