前回の記事を見ていただいた方から、ご連絡頂戴しました。
こんなことがあったそうです。
ある工場では、Aという部品の製造は主に、
A´という作業内容で行うことになっていました。
作業標準の中にも明記してあります。
ある日X課長がY課長代理に「特にA部品はA´作業で製造せよ」と
念を押すように指示しました。
ところが、Y課長代理はこの課長の指示を、
Z係長に伝えませんでした。
この製造工程の責任者はZ係長なのですが、
この道のベテランで、今更課長の指示を伝えると、
Z係長のプライドを傷つける・・・・と、Y課長代理は考えたのです。
ところが、前日までイレギュラーにA部品をB作業内容で
製造していましたので、Z係長は、当日も引き続き
B作業工程を工場に指示しました。
当然出来上がってきたのは、B作業工程で製造された
違った型の製品でした。
X課長が意図していた製品は、得意先から営業を通じて
「新製品の部品として使う。かなりの需要が見込まれる」と
連絡をもらっていた製品でした。
だから、念のために、X課長は、Y課長代理に、
A´作業指示をしたのでした。
ところが、Y課長代理は、そのことをZ係長に伝えなかったばかりに
本来必要な製品が製造されず、当然納期に間に合わず、
得意先は、タイミングを失ってしまい、せっかくの
新製品開発が見送りとなってしまったのです。
その結果、同じ得意先から来ていた他の部品の製造注文も
別の会社へ発注されてしまいました。
一人の課長代理の、自分勝手な早合点で、
この会社は、大きな取引を失うことになってしまったのです。
Y課長代理がこの取引の重要さをよく認識していたら
こういう結果にはならなかったでしょう。
ホンのちょっとしたコミュニケーション不足が
大きな損失に繋がるかもしれない、というわけです。