ヒュー

「きゃあ」

『藍屋』の店先で掃き掃除をしていた咲は思わず声をあげる。

「木枯らしですやろか?」

一緒に掃き掃除をしていた花里が言う。

「もうじき冬になるんやろな~寒いのは、かなん。」

京都の冬は寒い。

足袋を履かない足の冷えには咲には堪える。

ヒュー

そんなことは知らないという様に強い風がまたふいていく。