名古屋駅前の弁護士の三輪です。
交通事故により死亡事故が発生した場合、逸失利益(すなわち事故の被害者が事故にあわなければ得たであろう収入)の損害の請求をすることになります。
死亡による逸失利益は、「基礎収入(1-生活費控除率)×就労可能年数に対応するライプニッツ係数」にて算定されますが、逸失利益の請求額は高額となることが多く、裁判においてよく争いとなるのは、前回お話したとおりです。
そして、給与所得者の場合、基礎収入は、事故前に勤務先から得ていた収入を基礎とします。
ただ、将来、退職金が支給されることが確実な場合、将来得ることができたはずの退職金も逸失利益として認められてもよいようにも思われます。
そこで、本日は、将来支給が見込まれる退職金について逸失利益として算定されるかという点についてお話をしたいと思います。
この点、退職金については、将来支給されることが確実とはいえないことから、退職金の逸失利益が認められることはあまりないと考えられます。
しかし、公務員や有名な大企業で勤務しており、退職金が支給されることが確実な企業に勤務していた被害者については、裁判例でも退職金の逸失利益が認められる傾向があるようです。
この場合、事故による死亡時に支給される死亡退職金と、定年まで勤務すれば得られたであろう退職金額との差額が、逸失利益として算定されます。
この点について判示した判例としては、東京地裁平成13年2月22日判決があります。
同裁判例は、交通事故で死亡した地方公務員32歳女性について、60歳まで勤務し定年退職すれば退職金規定により退職金が得られたとして退職金を逸失利益として請求した事案において、被害者が村役場の主幹の地位にあること、職業としての安定性を考慮して、約307万円の逸失利益を認めました。
本件のような若年労働者は、定年退職までの期間が非常に長く、将来退職金が取得できるか不明確ですから、退職金が逸失利益として認められることは多くないと思われます。
ただし、本件のように公務員や大企業に勤務するなど職業としての安定性を有する場合で、退職金規定が存在するなど計算資料が存在する場合において、退職金の逸失利益が認められたと考えられます。
従って、裁判では、退職金規定を提出するなど、しっかり主張立証を行う必要があると考えられます。
但し、生活費割合を控除すべきか否かについて、この裁判例は控除がなされていますが、他の下級審裁判例においては判断が分かれているようです。
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