弁護士の石橋です。
さて、今回は、経営者保証に関するガイドライン(以下「経営者保証GL」といいます。)を適用して保証債務を整理できるのはどのような場合かということについてご紹介したいと思います。
まず、ある保証契約が経営者保証GLの適用対象となるためには、以下の要件を全て満たす必要があります。
⑴ 保証契約の主たる債務者が中小企業であること
⑵ 保証人が個人であり、主たる債務者である中小企業の経営者であること
※以下に定める特別の事情がある場合又はこれに準じる場合は適用対象となる。
① 実質的な経営権を有している者、営業許可名義人又は経営者の配偶者(当該経営者と共に当該事業に従事する配偶者に限る。)が保証人となった場合
② 経営者の健康上の理由のため、事業承継予定者が保証人となる場合
⑶ 主たる債務者及び保証人の双方が弁済について誠実であり、対象債権者の請求に応じ、それぞれの財産状況等(負債の状況を含む。)について適時適切に開示していること
⑷ 主たる債務者及び保証人が反社会的勢力ではなく、そのおそれもないこと
そして、以上の要件を満たすことを前提に、さらに以下の要件を全て満たす場合には、経営者保証GLに基づく保証債務の整理が可能となります。
⑸ 主たる債務者が破産手続、民事再生手続、会社更生手続若しくは特別清算手続の開始申立て又は利害関係のない中立活公正な第三者が関与する私的整理手続及びこれに準ずる手続き(中小企業再生支援協議会による再生支援スキーム、事業再生ADR、私的整理ガイドライン、特定調停等をいう。)の申立てをこのガイドラインの利用と同時に現に行い、又は、これらの手続きが係属し、若しくは既に終結していること
⑹ 主たる債務者の資産および債務並びに保証人の資産及び保証債務の状況を総合的に考慮して、主たる債務及び保証債務の破産手続による配当よりも多くの回収を得られる見込みがあるなど、対象債権者にとっても経済的な合理性が期待できること
⑺ 保証人に破産法第252条第1項(第10号を除く。)に規定される免責不許可事由が生じておらず、そのおそれもないこと
以上の要件で特に問題となるのが、上記⑶の「弁済について誠実」であることや財産状況等の「適時適切」な開示、上記⑹の対象債権者にとっての「経済的な合理性」という2つの要件です。
経営者保証GLを適用できれば、保証人は破産を回避して保証債務を整理でき、かつ、破産の場合よりも多くの資産を手元に残せる可能性が出てきますが、このような保護を与えるのにふさわしい適格が備わっていることが保証人には求められます。
また、経営者保証GLにおいて、保証人と対象債権者はいわばWin-Winの関係に立ちます。対象債権者にとっても早期の事業再生等により回収額が増加するなどの経済合理性が認められることを前提に、保証人に早期決断へのインセンティブを付与するというのが経営者保証GLの考え方なのです。
次回以降はさらに経営者保証GLによる保証債務整理の要件について詳しく解説していきたいと思います。
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