最新判例 高次脳機能障害⑦ | 名古屋駅前の弁護士 三輪総合法律事務所のブログ

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高次脳機能障害とは、交通事故により頭部に強い衝撃をうけて脳の一部が損傷し、機能が低下した場合に発生する障害をいいます。

 

頭部外傷により、意識障害を負った被害者のかたが、意識の回復後、認知障害や人格変化などが発生し、社会復帰が困難となることがあります。

                                                             

高次脳機能障害は、身体的な機能については特段に支障はなく、身体的な介護をする必要はないものの、高次脳機能障害に人格変化が生じているため、日常生活の上でも見守り、声掛けをする必要があるとして、将来の付添看護費が認められることが多いです。

 

 

本日は、高次脳機能障害の後遺障害が発生した事案について、近時の裁判例(長野地判平成29年4月4日判決)をご紹介します。

 

この裁判例は、55歳男性会社員が信号交差点の自転車横断帯付近を歩行横断中に、自動普通乗用車に衝突された事故について事案(自賠責7級4号高次脳機能障害、同8級1号視力障害、12級14号外貌醜状の併合5級)です。

 

被害者には後遺障害が残存し、そのうち高次脳機能障害により業務を計画的に進行させることができなくなる、疲れやすいなどの支障が、視力障害により書類を読んだり作成したりするのに時間がかかるなどの支障が生じていること、本件事故後、参与から主幹に降格し、内部監査部門の責任者(室長)の立場を離れたほか、出張中に発作が起きる可能性があることから、勤務先の判断により出張にでかけることがなくなったことから、後遺障害の内容及び程度並びに業務への支障等に鑑みれば、原告が79%の労働能力を喪失したものと認められました。

 

そして後遺障害の逸失利益については、後遺障害のうち高次脳機能障害は、記憶力、集中力及び遂行力を低下させ、円滑な対人関係を構築することなどを困難にするものであり、視力障害は視界を狭め、集中力や疲れやすさにも影響するものであって、いずれも被害者の業務に多大な支障を生じさせる後遺障害であることなどから、減収が比較的少額にとどまっているのは原告の努力や周囲の配慮によるものであるとみるべきであり、本件後遺障害により定年後の再就職が困難になる可能性も考慮すると、労働能力喪失率が79%を下回ると評価することは相当でないとして、定年である60歳までの4年間は、本件事故前年の実収入を基礎収入とし、61歳以降の9年間については、賃金センサス男性学歴計60歳から64歳平均を基礎収入として、労働能力喪失79%で後遺障害逸失利益が認定されました。

 

この判決は、減収が最低限にとどまっていても、それは本人の努力や職場の周囲によるものであることを指摘したうえで、高次脳機能障害による様々な支障を考慮して逸失利益を認定している点で評価できるといえます。

 

今後も、このような最新判例についてご紹介をしていきたいと思います。

 

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