最新判例 高次脳機能障害⑥ | 名古屋駅前の弁護士 三輪総合法律事務所のブログ

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高次脳機能障害とは、交通事故により頭部に強い衝撃をうけて脳の一部が損傷し、機能が低下した場合に発生する障害をいいます。頭部外傷により、意識障害を負った被害者のかたが、意識の回復後、認知障害や人格変化などが発生し、社会復帰が困難となることがあります。

 

高次脳機能障害は、身体的な機能については特段に支障はなく、身体的な介護をする必要はないものの、高次脳機能障害に人格変化が生じているため、日常生活の上でも見守り、声掛けをする必要があるとして、将来の付添看護費が認められることが多いです。

 

本日は、高次脳機能障害の後遺障害が発生した事案について、近時の裁判例(横浜地判平成29年4月17日判決)をご紹介します。

 

この裁判例は、30歳女子兼業主婦が自転車運転中に自動二輪車と衝突した事故について事案(右腕神経叢引き抜き損傷、頸椎損傷、高次脳機能障害、自賠責3級3号)の逸失利益算定につき、原告が症状固定後に長男を出産し、夫が隔日で自宅を不在にするにも関わらず、第三者の手を借りることなく自宅で長男を養育していることからすれば、夫の不在時には最低限の育児を行っているものと推認されることなどから、症状固定時34歳から67歳までの33歳について、92%の労働能力喪失を認めるのが相当であるとし、基礎収入は平成24年女子全年齢平均賃金354万7200円として後遺障害の逸失利益が認められました。

 

自宅付添費については、右上肢の可動域制限が大きく、特に右手首から先の部分は常時灼熱痛があるため、自ら食事の支度をすることが全くできず、痛みが継続することによる疲労も強く、歩行にも安定性を欠く状況であったため、夫において、被害者の食事の支度等、家事全般を行うとともに被害者の日常生活を補助する必要があったとして、通院期間1216日の2分の1の日数につき日額3000円で認めました。

 

将来介護費については、被害者には、食事の支度等の生活面での介護や外出時の付添いが必要であるが、これを負担する夫の勤務態勢や家族の生活状況に鑑みれば、症状固定時の平均余命52年について、日額2000円の介護費を認めるのが相当であるとしました。

 

さらに、将来治療費につき、CRPSによる慢性灼熱痛緩和のため、症状固定後もリリカカプセルを1日4カプセル服用しており、今後もその服用が必要不可欠であること、そのための費用として約2か月毎に薬剤費1万9140円、処方料410円を要することが認められることから、症状固定時の平均余命53年につき、治療費として216万9275円が認められました。

 

この判決は、逸失利益算定に関わる労働能力喪失率について、夫の不在時には最低限の育児をしていることを根拠に92%の労働能力喪失率で認定しているものの、症状固定時以後の将来介護費及び将来治療費を認められている点が評価されると考えられます。

 

今後も、このような最新判例についてご紹介をしていきたいと思います。

 

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