黒猫のクロエが5月6日の朝、虹の橋を渡っていった。まだ6歳だった。
知り合いの実家の徳島から我が家に来た、少しぼんやりしたマイペースな子だった。
にゃ〜って鳴けなくて、ひゃ〜、みたいな声しかでなかった。ビロードのような毛並みで、撫でるとサラサラ、フワフワだった。
人の膝の上がどこよりも大好きだったくーちゃん。ゆっくりやすんでね。
記録として残しておきます。
苦手な方は回れ右でお願いします。
4月4日、ここ2日ほどウェットフードを食べず、ふわふわマットに寝ていることが多かった。仕事から帰ってきたら朝よりも呼吸数が早く感じたので次男に昼間はどうだったか聞いてみた。
昼間よりも呼吸の回数は確実に多い、昼間は1分間に45回くらいだったけど今は60回くらいだから。少し辛そうだね。という次男のコメントを参考に、意を決して救急動物病院に行った。
胸水が溜まっているのでとりあえず穿刺して性状を調べます、と言われたのでしばし待った。
白濁していたらリンパ漏か膿胸、黄色ならもしかしたらFIP、透き通っていたら水分漏出による胸水だろうから心臓?などグルグル考えていた。
結果は一番可能性が低いと思っていた膿胸だった。外に出ない子で肋骨も折れてないし転落による外傷はまず考えられない。もしかしたら他の猫とじゃれている時に爪が刺さってしまい、そこからばい菌が入ってしまったのかもしれないけど、本当のところはわからない、ということだった。
このまま何もしなければ今夜にでも危ない、という状況だったので治療をお願いして預けた。24時間体制で診てくれるので、急変時も安心だった。
麻酔をして胸腔に管を入れて、毎日管から洗浄して膿を洗いながすことを繰り返した。
ドレーンの洗浄液がきれいになり、血液の感染の指標も下がってきた、救急医療はここまで、あとはかかりつけ医で良いと思います、とのことで4月14日の日曜日に退院した。
心臓のエコーで、心拍数がかなり高いことと、動きが若干不規則なのが気になる、可能ならば循環器の専門に見せるために高次医療施設に行ってみるといいかも、と言われた。
まずはかかりつけ医になるべく早く診てもらって、とのことだったので4月17日水曜日に行く予定にする。
帰ってきてからはチュールなどは食べて水も飲んでいたが、4月16日火曜日にまた呼吸回数が早くなったような気がしたので、仕事を早退して獣医さんに連れて行った。
一通り検査してもらったが、胸水は増えていないが心臓の周りに少し水が溜まっている状態、採血で感染の状態がまた悪くなってきたので2週間効果のある抗生剤を注射してもらった。心嚢液に関しては、穿刺して抜くほどの量は溜まっていないので様子見となった。
4月24日水曜日、ここ一週間はチュールもウェットフードも少しは食べてくれて、ちょっと上向きかな、と感じた。
日曜に退院してからは、毎日時間があれば部屋に行きケージから出して過ごせる時間を増やした。元気になるまではケージに入れておいたほうが良いと言われていたので、広いケージを買って、人がいない時はそこに入ってもらっていた。
出すたびに、ちょっと部屋をうろついた後はずっと膝の上にいた。時間が経つと体勢を変え、結局ずっと膝の上。かなりの時間、膝の上で過ごしていたように思う。
次の受診は、かかりつけ医に打ってもらった抗生剤の効果が切れる頃の4月29日だった。
胸水はなし、血液の感染指標は横ばい、もう1つ抗生剤を増やしましょう、ということで再び抗生剤の注射をしてもらい、加えて家で飲ませる小さな錠剤をもらった。
その日から少しずつ具合が悪くなってきた。
錠剤は何とかの飲ませたが徐々にご飯を食べなくなった。連休が始まる頃にはチュールにも顔を背け、ひたすら膝の上で丸くなる。
ケージから出しても部屋をうろつかなくなり、ひたすら膝の上で丸くなる。
5月3日まで様子を見ていたが、もう何も食べなくなってしまったので5月4日に再度病院へ。
胸水はなし、心嚢液も変わらず、感染の指標は正常値になり抗生剤が効いた様子、でも体温が猫にしてはかなり低い。
心エコーで心臓の中にモヤモヤしたモノが見えますと。血栓か、、、。
おそらく心拍数が早い事に加え心臓の収縮があまり良くなく、ポンプ機能が低下してしまい血栓が出来たのではないか、また循環不全の状態なので、手先足先に血液が行かずに体温が下がっている。
血栓を溶かす薬と心機能を高める薬を内服でと提案があったが、内服はかなり嫌がるので難しい、加えてご飯を食べないので入院して治療をしてほしいと伝えた。
血栓が飛んだら突然死も有り得ることを承諾し、クロエを入院させた。
入院したら、ご飯と抗血栓薬を投与するために鼻から胃まで細い管を入れると。強心剤は点滴からいくとのこと。
救急病院にいる時も、とにかく何をするにもスタッフをとても怖がってしまい、かなりストレスだったかもしれない、と救急病院の先生から聞いていた。なので、今回は1日預けて様子を見て、大丈夫そうなら治療継続、あまりにも怖がってストレスなようなら家で出来ることを、という方針とした。
5月5日の夕方、診察終了の1時間くらい前に様子を見に面会に行った。
鼻から細い管が入り、カラーをしていた。左前足には点滴が入り、そこから強心薬や補液をされていた。
目は開いているが、どこを見ているかはわからない。視界に入るように移動すると、ちらっと見てくれる。
ほぼ横たわっている。時々起き上がって反対向きに横たわる。座位を保つことはできない状態だった。
面会中に先生が来て、昨日は座ったりしてましたが今日はほぼ横たわってますね、昨日治療を始めたばかりなので、このまま治療を続けたいと思います、とのことでその方針でお願いした。
しかし、体の向きを変えると苦しくなるのか呼吸数が上がる。2、3歩あるいて体勢を変えるが、倒れ込むように横たわる。
これは明日の朝まで持たないのでは、という気持ちが強くなった。
診療終了まで小一時間、くーちゃんに話しかけながら考えた。
夜間は誰もいない病院、朝誰かが出勤するまでは無人となる。それは仕方ないが、その間逝ってしまったらそれは嫌だな、と思う。
考えた結果、家に連れて帰ることを提案し、獣医さんはそれを快く承諾してくれた。
診療終了時間にもかかわらず、帰るための処置をして、内服薬を出し、胃管の使い方を教えてくれた。
5月6日は仕事だったが、やはり今夜が峠だろうと思ったので、猫の部屋で夜を過ごすこととした。
病院から借りたカラーは重そうだったので、クリアファイルで即席カラーを作り装着。若干動きやすくなったようだった。
もう膝の上には乗らず、床に横たわる。体が冷えてるので暖かくしてあげてくださいと言われたが、苦しくて色んなところへ数歩あるいては横たわるので、暖ためるのは難しかった。
声をかけながら体をなでていると、それも嫌だったようで2回ほど前足と後ろ足両方で撫でる手を押し戻された。まるで、もう撫でるのはやめて、と言う感じだった。
その後は好きな場所に移動できるよう、床に置いてあるものをどけて動き回れるスペースを作った。もう見守るしかない。
部屋の端に座りながら、くーちゃんの動きを見守る。時々ウトウトしてしまうが、くーちゃんが動くとカラーがガサッと音を立てるのでハッと目が覚める。
途中一度だけ突然座って、かー!と鳴いた。息を強く吐き出したらそんな音になってしまったようだったが、そんなに大きな声を聞いたのはこの時が初めてだった。
午前3時前後に、ケージの入口に来て中に入りたそうにしていたように思えたので、扉を開けたら中に入り、入口近くに横たわった。その時はまだ浅く頻回に呼吸をしており、時折苦しそうに声を出していた。
その後は2時間くらいうとうとしながら様子を見て、5時になったので起きた。その時もまだ呼吸は変わらず、浅い呼吸だった。
他の猫にあげる餌や、くーちゃんに上げる薬、経管栄養を準備しに一階に降りたその20分の間に、くーちゃんは逝ってしまった。
薬などを用意して戻ってきたら、呼吸は止まっていた。
もちろんまだあたたかかったが、手足は動かず持ち上げて離すとパタンと落ちる。
1人で逝かせたくなかったから連れて帰ってきたのに、結局1人で逝かせてしまった。
子ども達に亡くなった時のことを話したら、猫はやっぱり逝く所を誰にも見られたく無いんじゃない?と言ってくれた。
本当はどうなのかはわからないが、甘えん坊なのに1人で逝ってしまったくーちゃん。
5月7日の夜、小さなツボに入ってくーちゃんは帰ってきた。
もう苦しくないね。ゆっくり休んでね。
次は長生きして、楽しく生きるんだよ、と人間の勝手な気持ちを伝えてみた。
いろんな後悔がある。
が、仕方ない。
今まで本当にありがとうね。
私の家に来てくれて、本当にありがとう。
虹の橋で待ってなくていいから、すぐに猫好きの人がいるお家の猫に生まれ変わって、沢山愛されて長生きするんだよ。
ゆっくりおやすみ、くーちゃん。
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