1000人のおっぱいを触ったフリーアナウンサー&下着美容研究家、湯浅美和子です。


なりたいウエストサイズはどのくらいですか?アイドルの理想のスリーサイズというのがB86、W58、H84とも言われていますが、やはり50cm台のウエストが理想なのでしょうか?50センチ台のウエストは細くてスリムです。しかし、時代が異なると太いというレッテルを張られてしまうサイズなのです。
 

16世紀のフランス王妃、カトリーヌ・ド・メディシスは宮廷の女性達のウエストを33cmに制限したと言われています。えええ!33センチ〜!
王妃はイタリアはメディチ家の一族として生まれ、アンリ2世との結婚の機にイタリア文化の数々をフランスに伝承させました。例えば、アイスクリームやフォークがそうです。フランス文化発展の貴重な存在とはいえ、33cmのウエストとはやりすぎですよね。内蔵が圧迫され体調を壊した女性も多くいたそうですが、それでも王妃は細いウエストを求めました。そのために用いられたのがコルセットのルーツとも言われる下着です。今のように健康を考慮したものではなく、その素材を見ると残酷なまで身体をいじめていたことがわかります。
この写真を御覧ください。

©️京都服飾文化研究財団


鎧のように頑丈ながらも、打ち抜かれた気品ある唐草模様が高尚な存在感を醸し出しています。一見、鉄製の美しい入れ物にも見えますが、何を隠そう、これがヨーロッパで実際に使用されていたコルセットなのです。(正式にはコルセットという呼び名は19世紀以降の用語ですが、今回は便宜上使わせて頂きます)
 

鉄製のコルセットは16世紀中期から17世紀中期頃までフランスやイタリアで使用されていました。起原はフランダースやヴェネチアなど諸説あるのですが、その記述があまりにも少ないため正式にはわかりません。現存するものも少なく、日本では京都服飾文化研究財団にて貴重な1つ(写真のコルセット)を保管していますが、世界中探しても数えるほどしかないそうです。
 

写真のコルセットは1580年頃のフランスで製作されたものです。前身頃1枚と後ろ身頃2枚の3つのパーツから成っています。高さ35cm、幅 25.5cm、バストサイズは69cmです。後ろ中央を開閉して身体にはめ、裏側にパッド入りのライニング(裏地)をつけて着用していました。
 

カトリーヌ王妃が宮廷の女性に命じたウエストよりやや太いようですが、やはり、全体的にかなり細身です。まるで少女のように華奢だったと思われますが、400年前の成人女性の標準体型はこのぐらいだったそうです。実際に一日何時間これを着けていたのかはわかりませんが、さぞや動きづらかったことでしょう。なにせ鉄です。伸縮性という機能は皆無。この型通りに身体を拘束するわけですから、太ることはなかったでしょうね。しかも重い!写真のコルセットはなんと1.4kgもあります。この中に身体をおさめ、曲がった背をまっすぐ伸ばす整形用として役立てたり、細い身体をまっすぐ支えるために用いていたそうです。30cm台のウエストの身体ですから、当時の女性は貧弱で自力で立つこともままならなかったそうです。ならば、こんな下着で支えなくてもよいぐらい太ればいいのにと思ってしまいますが、王妃の命令です。
「細いウエストが美しい」と信じていたのでしょう。
 

その後、コルセットの歴史は20世紀初頭まで続きますが素材は変化していきます。カトリーヌ王妃の娘で、後のフランス王妃となったマルグリット・ド・ヴァロア(通称マルゴ王妃)が17世紀初頭にブリキのコルセットを着用していたという記述が残されています。更に、布製へと進化していきますが細いウエストであることは変わらず、その細さが美しさの基準とされていました。 
歴史の一部として見る鉄製コルセットは美しく高貴な物に感じますが、30cm台のウエストにしなければならないと思うと...。歴史の重みとともに、鉄の重みを感じずにはいられない心境です。現代人でよかったわ!

 

 

33cmはさておき、私自身、コルセットならぬウエストニッパー を信頼しております。勿論、現在のものですので、ボディをいじめることはなくスタイルアップできるアイテム!使い続けたことにより、自然にウエストにカービングができました。

無理なくスタイルアップできるアイテムこそが下着です!

 

下着美容研究家 湯浅 美和子

日本ボディファッション協会認定インティメイトアドバイザー