アナウンサーで下着美容研究家の湯浅美和子です。それにしても、暑いですよね。今年は夏の入り口が涼しかった分、この極暑は堪えます。皆さん、健やかにお過ごしですか?

 

夏こそババシャツを!私の持論です。

ババシャツと書くとイメージが悪いですかね。最近、あんまり言わなくなりましたからね。でも、以前はニットインナーという正式名よりもババシャツという呼び名の方が認知されていたので、着用するのに抵抗があったという女性も多かったと思います。

ババシャツ!専門的にはニットインナーと呼ばれる部類の肌着は、寒い季節に保温用として用いられるだけではなく、夏仕様のものは汗対策や冷房対策にも役立ちます。更に、透け防止もですね。

 

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とはいえ、夏は重ね着に抵抗があるかもしれません。以前の私がそうで、重ね着をすると太って見えると躊躇していました。夏は暑いので出来る限り薄着をしたいという願望も加わって、とにかく重ねず1枚で!それが夏ファッションのゴール。アウターの重ね着さえも敬遠していたのですから、夏にニットインナーを着るなんてまったく想像も出来ませんでした。ニットインナーは防寒用として冬のみ身に着けるアイテムで夏には不必要。仮に着るとしても、ブラジャーがアウターに透けないよう隠すためのベージュ肌着を撮影現場でスタイリストさんにお借りする程度でした。

 

ところが、ある日、目覚めてしまいました!

 

かれこれ10年ぐらい前でしょうか?下着の勉強を始めてさほど経っていないある夏、下着メーカーの方がノースリーブタイプのニットインナーをくださいました。「着るだけで涼しく感じますよ」と言われ、下着にそのようなことができるのかと半信半疑のまま着てみました。

瞬間、上質な片栗粉のようになめらかでひんやりとした感触が肌に届きました。何これっ?とその心地よさに、目が一回り大きくなるほど驚きました。今ではだいぶ知名度を得てきた「接触涼感」という仕組みです。

 

見た目は冬用のニットインナーとなんら変わらず、しいて言えば袖がない点のみが夏っぽかったのですが、着て見ると明らかに冬用とは違いました。着ただけで私の体温は暑さから解放され、落ち着いてきたのです。その秘密はニットインナーを編む糸にありました。出来上がりが似ていても、夏用と冬用では使用している糸が微妙に違うのです。

 

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ニットインナーは吸湿と体温調整が目的の下着です。冬でも汗をかく場合もあるので夏冬問わず、吸湿、吸水性に優れた糸がメインとして使用されています。天然素材ですと綿、化学繊維ですとナイロンやレーヨン、キャプラです。それをベースにどんな糸を混合させるかでニットインナーの機能目的が変わってきます。例えば、アクリルは保温性があるので冬用のニットインナーには混合されていることが多く、仮に、夏にアクリルの比重の多いものを着ていると暑いはずです。

 

私が清涼感に感動したニットインナーはレーヨンとポリエステルから出来ていました。レーヨンはシルクを真似て生まれた化学繊維なので、しっとりと品よく肌に馴染んだのでしょう。シルクの優雅なドレープ感は研ぎすまされるような涼感がありますが、レーヨンもよく似た印象を受けます。キュプラもお洋服の裏地に使用されているだけあって、ドレープ感と清涼感を与えてくれます。

 

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そして、夏インナーの素材ポイントはポリエステルです。ポリエステルは乾きがとても早いのが特技の繊維です。汗を吸う機能に優れた繊維でも放湿性がなければ、吸い取った水分はなかなか乾きません。そこをフォローする為にポリエステルが使われているというわけです。

 

つまり、私がもらった夏用ニットインナーは、体感温度を涼しくしてくれる上、汗もよく吸い、吸った汗がすぐ乾くものだったのです。化学繊維の力はすごいものです!

 

天然繊維である綿は根強いファンもいますが、綿のみですと汗を吸っても速乾力はないので放っておくと身体が冷えて風邪をひいたり、臭いの元になってしまいます。わずか数%でも、助け舟となる化学繊維が混合されることで、速乾性、汗じみ防止、臭い軽減、体温調整などが可能になるのです。

 

寒い季節の防寒だけではなく、汗や皮脂を吸い取るニットインナーを着ることでお肌を衛生的に保ち、洋服の汚れを防ぐ事も出来ます。今では夏用ニットインナーは私の定番アイテムです。汗もさらさら、夏風邪なんて無縁です!そして、決して生地も薄いので気太りの心配もないはずです。素材によって多機能に渡るので、是非トライしてみてください。

 

日本ボディファッション協会認定インティメイトアドバイザー

下着美容研究家 湯浅 美和子