浜村さんとか濱村さんとか | 島くらしの手帖 瀬戸内海・周防大島編

浜村さんとか濱村さんとか

浜村さん、もしくは濱村さんについて書きたいことが2つある。

この島には「浜」が付く名前が多い。

どこの集落もだいたい海に面しているんだから、

そりゃそうかもしれない。

浜村さん、浜中さん、浜口さん、浜田さん、浜本さん、、、

あれ、こんなもんかな。

それでもお付き合いのある人の10人に4人くらいは浜が付く。苦笑

今うちの周りの8軒を思い浮かべると4軒は浜です。

ま、これがひとつ目。どうでもよかったな。

もうひとつは下田の畑で浜村さん。こっちが本題。

ここの畑は、東・南・北と道に囲まれているので、

そこを通る人からよく見える。

いろんな人が畑にやって来てはご指導してくれたり、

雑談がはじまったり、ある種のコミュニティスペースみたいな。

その中でもよく会話をするのが、隣の畑の浜口さん。

作物や農具、お茶など、いろいろ差し入れしてくれます。

北側の道の奥の方でみかんをやってるマルコのばあちゃん。

飼っている犬の名前がマルコ。乳母車に乗せられ散歩している。

「おにいちゃん、よくがんばるねぇ」とマルコに話しかける。

僕はお兄ちゃんということになってます。もうすぐ40歳。

南側の道の奥の方で何十種もの野菜を作っている藤原さん。

すごくきれいな畑を作る人で、農作業の授業に説得力がある。

棚田の下の段(地主さんが一緒)でニワトリの世話をしている橋本さん、

91歳のおばあちゃんですが、その動き、肌の色艶、会話の通り具合、

その他いろいろから考えると「60歳台です」って言われても信じる。

これが下田の畑のレギュラーメンバー。

頻度が少なかったり、名前を知らなかったり、という人が他に5名ほど。

その中のひとりが、ほぼ毎日見かけるおじいちゃん。

北側の道をカブで通り過ぎるおじいちゃん。

まっすぐ前を見てカブで通り過ぎる。

僕から見ると右前方をまっすぐ見る横顔か、

左前方をまっすぐ見る横顔しか知らなかった。

畑から挨拶をしても、挨拶が返ってくることも、

その表情が変わることも無かったので、ちょっと怖かった。

いつからか挨拶すらしなくなっていた。

あそこの畑で作業をはじめて3か月。

昨日の朝、はじめてバイクが止まり、畑に入ってきた。

怒られんのかと思ったら、

「ここは水はけが悪いから、農閑期に水路を整備しなさい」

その一言で帰っていきそうだったけど、会話を続けると

浜村さんというおじいちゃん、92歳。

たぶん、この島で出会った最年長。

もしかしたら、人生で会話したことのある最年長。

この島のお年寄りは年寄りに見えないくらい元気でびっくりする。

というような主旨のことを伝えると

「あんたもここにおりゃ、こうなる。」

耳も遠くない。ここで出会う老人はみな耳がいい。

「大豆の周りの草刈らんと身が寄ってカビが来る」

というアドバイスをいただいたので、こちらからも質問。

サツマイモの畝をじょそうしたのですが、

サツマイモのツルは一旦避けても大丈夫かを訊くと

「2日で元に戻る。」

イノシシ除けの柵を作ることを伝え、掘られた跡を見せると

「カラスだ。」

そうなの?じゃあ柵作らなくていいかと思ったら

「せっかく作ったイモは大事にしなさい。」

言葉少なに語るので、一言一言が重い。

「作れ」ということですよね。

ずっとすれ違ってはいたのだけど、

下田のコミュニティ畑に新キャラが仲間入り。

茶飲みスペースとか欲しくなるね。

$島くらしはじめました。