
華バス
淡き花。二十七話 「美久がいなくなった!」
「ローズインファンシーショップ」・・・のテレビには
未来の2011年1月8日の切れるような寒さの中、
温かい日差しにあたりながら
きねつきのもちつき大会の様子が映っていました。
天気予報は、
「冷たい寒気団が近づいています」と報じていました。
NEWSは、
「日本再浮上を伝えるも議員同士の闇」を報じていました。
ーサウンドトラックー
その「ローズインファンシーショップ」では
大きな声が聞こえていた。
「美久さんがいない・・・、
店長、美久さんがいないんです・・・」
ともうひとりの店員が言った。
「美久さん・・・、
まだ こころが癒えてないはずなのに
いったい、どこへ行ったんだろう・・・、」
と店長は言った。
「探してくる、
いいか?
店番をたのむぞ・・・、」と
店長は美久を探しに出た。
美久のいた はなれの中2階の部屋には
テッシュで作ったしろいバラと
書きかけのバラの絵が
置いてありました。
「美久さん~!」
(どこだ、どこに行ったんだ・・・、
まだ・・・、ここにいてもいいんだよ。)
とひたすら店長は
美久を探し回った。
美久は
バスの中で
ずっと窓に映る街の景色を
窓にもたれながら、ボウと見ていた。
小春日和のお日さまのバスのこもれびに
こころを癒すようにもたれていた。
並木は枯れ木のモノクロのきせつ、
息づく車はそれぞれの用事に身を費やして
動脈のように流れていた。
そばの歩道に店長が見えたのだが、
すれちがってしまったのでした。
(美久さぁ~ん、
何が君を困らせているというんだ。
泣かないで・・・。苦しまないで・・・。
時は流れるものだから・・・、
いつか落ち着く日もある・・・。
あきらめないで・・・、
どこに行ったんだろう・・・、)
と店長は必死の思いで探した。
街一番のテレビ塔にも
上った。
「どこなんだろう・・・、」
すれ違ったバスは 終点で一度
客を乗せるために 時間待ちをした。
「お客さん、
ここ、終点なもので、
いいですか?」
とバスの運転手は言った。
「あ、そうですか?
すみません。降ります。」
と美久は降りた。
街再興のイベントをしているデパートの見える終点で
美久は降りた。
その時、
「美久さん・・・、」
と店長は声をかけた。
「あ、店長さん、」
と美久は言った。
「どうして 黙って出ていくんだ!
心配するじゃないか!」
と店長は言った。
「スミマセン・・・。」
と美久は言った。
「一緒に帰りましょう。
こころの傷はいつか時とともに
癒えますように ぼくは祈ります」
と店長は言った。
「店長さん・・・」
と美久は言った。
テーマ曲
クレジット
そのあとの
NEWSで
南の国を
『どげんかことせなかん』という声が聞こえてきていました。
CMは
「そばにいるよ~」というケータイのCMが
流れていました。
(ホゥ、あまり見つめすぎた華は
ストリーが何か解りませんでしたが
映る影像にきれいさに見とれていました。
あっ、そうか。
幸もいなくなった時は 頭が真っ白になったんだ・・・、
こんな感じなんだね。)
と華はつぶやいた。
ミスターテレビ君は華のポンコツテレビを
点滅させて来た。
華は秘密のケータイを魔法の小箱から出して
メールを読んでみた。
【ひとりは さみしい】というメールでした。
(有名な作家はとても孤独と戦いながら
物語を作るのかなぁ~、がんばれ、華のゴーストの先輩、)と華は思いました。
りんごの絵文字をたくさん書いて
華は不思議なケータイでメールを送ったのでした。
今夜もとても寒く
天井には大きなオリオン座が横たわり
月は見えるところにはいませんでした。
華のところも幸の福祉の会でもちつきで
NEWSでも高山のほうでもつきたてのおもちを
ほおばる影像がテレビに映っていました。
つづく・・・。